第2話 異世界キャンプ

俺とサクラはしばらく歩き続けて…


「お腹空いたのですー」


「よし、昼にしよう!」


キャンプのご飯は物による…


「どうする?何食べたい?なんでも買えるよ?」


「そうですね…そちらの世界のキャンプのご飯というものを試してみたいのです!」


「あいわかった!」


通販で物を選んでるときのこの楽しさ!病みつきになるゥ!


2回目の購入


「フォリンさんでよろしいですか?」


「はい」


「ここにサインを」


「…確かに受け取りました」


「毎度ありがとうございまーす」


さて、今回頼んだのはサバの味噌煮の缶詰、お湯で作れるアサリの味噌汁、そしてラーメン。


「これはなんなのですか?」


「美味しい食べ物だよー?さ、食事の準備といこう!」


簡易椅子を立てて、地面を平にするために木の板を置く。その上にガスバーナーを置けばざっと完成。まあ異世界のものだから説明書を読んでやってるけど、現代のものよりもめちゃくちゃ準備が楽。


「さて、じゃあやっていきましょうか!」


まず、水を沸かしましょう。その間にサバの味噌煮の缶詰の蓋を少しだけ開けて火に当てて温めましょう。ちなみに常識だけど水を沸かすときに塩を入れれば早く沸けるよ。

で、沸けたらアサリの味噌汁にお湯を入れて、残ったお湯でラーメンを作りましょう。ちなみに味噌ラーメン。粉を入れて作りましょうね。


「ん〜♪味噌のいい匂いがするのです…」


「でしょ?さ、もうすぐでできるからな…」



完成。鯖の味噌煮とアサリの味噌汁と味噌ラーメン!


「美味しそうなのです…じゅるり」


「さ、ラーメンは時間が経つと伸びちゃうから食べよう!」


「「いただきます!」」


キャンプは今までずっとボッチだったからこうやって誰かがいると新鮮だな…


「これが異世界の料理…美味しいのです…」


「だろ?」


「この鯖の味噌煮ってやつも…美味しいのです…イタッ!?」


「どうした!?大丈夫?」


「口に何か固いものが刺さったのです…」


「あぁ、骨だね。食べられるから大丈夫だよ?」


「なんか固くて食べにくいのです…」


「栄養にはちゃんといいよ?」


「そうなんですか…!では!」


ちゃんと噛んで食べてる。ちっちゃからなのかな?かわいい。


「…サクラ」


「はい!」


「将来の夢とかあるのか?」


「そうですね…いくつかありますが、一番の夢は「王都ガランドスィ」で一番の魔工具研究者になることなのです!」


そんなややこしい名前の国の名前があるんだな…


「へぇ…魔工具って?」


「魔法で作る道具のことなのです!生活に使われることも、戦闘で使われることもあるのですが…」


「戦闘なんかあるんだ…」


「普通に国と国の戦争はあり得るのです。その輪廻を断ち切るために私は魔工具を作りたいのです!」


「なるほどねぇ…でも魔力が必要なんでしょ?」


「その点については…上位魔法くらいならポンポン出せる程度の魔力なら持ってるのです!」


え、上位魔法ってすごいやつじゃないの?俺本で見たよ。


「え?本で見たけどすごい魔力使うけど?」


「まあ生まれつき体にまわっている魔力が異常なほど多いから…まあ最上位魔法は詠唱できないんですけどね!」


「最上位魔法?なにそれ」


「「魔法都市グラデント」にある学校の中でも最上位の学校、「魔法学校シャルガン」で許された人しか使えない魔法なのです」


「え、どういう仕組みなの?」


「魔法学校シャルガンは基本五年制で、五年の修学を完了した人の中でも成績が最も良い5人がもう一年、特別に最上位魔法を学ぶことができるという仕組みなのです」


「なるほどねぇ…でも魔工具とはなんの関係もなくない?」


「いや、シャルガンにもたくさんの部門があるのです。防衛魔法部門、生活魔法部門などと言った部門があるのですが、その中に魔工具部門というものがあるのです」


「よくわからないや…憧れの人とかは?」


「2人いるのです。1人はグラデントの現国王でもあり、シャルガンの校長でもあり、防衛魔法部門の教師でもある「ロルフェン・グラデント」。もう1人は「奇跡の魔工術師」と呼ばれているシャルガン最大の卒業生、「アルヒスト・ホウリェン」なのです」


「2人はどういう人なの?」


「ロルフェン王は「龍の痣」を持つ歴代最強の国王と呼ばれているのです」


「りゅうのあざ?なにそれ」


「呪われた人の刻印なのです。龍に呪われた人は今までだったら迫害され続けた者とされましたが、魔法管理省があるグラデントの国王であるロルフェン王が龍の痣に対する迫害を禁止した偉大な王なのです」


「へぇ、もう1人は?」


「アルヒストは…みんなからすれば恐怖の人なのです」


「なんで?」


「この世界を壊せるレベルの魔工具を作ってしまったのです。それによってアルヒストは25歳という若いうちに処刑されて亡くなってしまったのです」


「え、じゃあなんでそんな人を憧れてるのさ」


「魔工具の技術に憧れてるのです!私はその過ちを犯さず、アルヒストが築き上げた魔工具の文明を引き継ぎ、平和のために使いたいと思っているのです!」


「なるほどねぇ…いい夢じゃん!」


「ありがとうなのです!」


「じゃあこれからの旅の目標はその魔法都市ってとかにしようか!」


「本当ですか!?」


「俺は行く当てもないからな…俺としてはとにかく色々な場所を見たいから…な?」


「なら私が案内するのです!」


「あれ?でも旅行に行ったことはないって…」


「今いる位置も、魔法都市の場所も大体頭に入っているので大丈夫なのです!となると…本を貸してほしいのです」


「ほい」


すごいなぁ…この子。


「ここが今、私たちがいる場所なのです。そこから「月狼国フィルガン」を通り、「鉄都市タルゴン」を通り、「未来都市ナルミル」を通り、「魔法都市グラデント」に行くのが最短ルートなのです。整備された道で行けるので魔物もあまり出てこないかと!」


「通る国々について説明を」


「わかったのです!フィルガンは魔法によってその国の周辺を永久的に夜にしてある国なのです。オオカミ、まあ人狼の国ですが、襲ったりはしなくて、むしろ友好的なので安心するといいのですよ?ちなみに隣に「黄狐国キュルシェンがあり、そこで対立しあっているとか」


「なるほどねぇ…」


「次に鉄都市タルゴンですが、工場や鉄鉱山がある工業の国なのです。ですが最近は荒れてるみたく、少々危険なのですが、すぐに通るだけには問題はないかと。そして、未来都市ナルミルは二つしかない中立国のうちの一つで、「技術は提供しない代わりに全ての国を攻撃しない」という条件を全ての国に課し、平穏な国として現状を維持してるのです」


「なにそこ行ってみたいんだけど」


まあどうせ行くからね。


「現時点の最終目的地の魔法都市グラデントは三代都市のうちの一つで、三代都市というからにはとても大きな国であって、常時国全体を囲む大きな魔法陣が張ってあるのです」


「それはどういう理由で?」


「魔法使いというもの、主に純血の魔法使いは日に日に魔力は失われていくのです。それを守るための魔法陣だと聞いたことがあるのです。…説明を続けるのですよ?ここでは貴族平民貧民、誰も等しく、幸せに生きることができる国なのです。主に魔法学校生徒への補償が厚いらしいのです」


「へぇ!サクラにぴったりじゃん!…でもさっき言ってた三代都市ってなに?」


「この大陸、「アズガル」の大きい都市、「大陸王都アズガル」、「魔法都市グラデント」、「食都ハイテン」。この3つが含まれるのです」


食都のリンガルってとこすごい気になるんだけど…まあどうせいつか行くか!


「なるほど、よくわからん!」


「まあそのうち覚えていくと思うのですよ?えっと…ごちそうさまなのです!」


「おっ、食べるの早いな…」


俺まだラーメン食べてるんだけど…


「…そうだ!今のうちにこの子を紹介しておくのです!」


「この子?」


「昔から飼ってるワシミミズクの「コンファ」なのです!」


「フクロウか…」


「この子は離しておいても勝手に私のところに戻ってくるし、口笛を鳴らせば緊急事態でも戻ってくるのです!何か問題ごとがあればどこかから紙とペンを使って自分で文字を書いて私のところに伝えに来てくれる私の昔からの相棒なのです!」


え、それハ⚪︎ーポッ⚪︎ーも驚きの有能性じゃん。


「すごいなぁ…」


「指の匂いを嗅がせてあげるとフォリンさんにもその特技が対応するのです!何かあった時のために、やっておくといいのです!」


「じ、じゃあ…」


恐れながらも指を近づけると、一番恐れていたことがあった。


「ガブッ」


「痛い!?」


「!こら!コンファ!やめるのです!」


すんなり噛むのをやめてくれたけど…ワシミミズクって猛禽類だろ?


「ふぅ…ちょっと慣れるまで我慢なのです…」


「は、はぁ…まあ、ご馳走様」


残ってるのがあと一口だけだったからね!


「…そうだ!フィルガンはとても寒いので防寒着を着た方がいいですよ!」


「よっしゃ通販!」


防寒着を買って早く行こうではないか…!楽しみすぎるからな!

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