第1話 村

「…ゲームかよ」


俺の名前は堀崎 健二!21歳の通販大好きの在宅ワーカーだぜ!

…まあ在宅ワーカーだからって陰キャじゃないけどな…


とまあ、夢の世界を歩いているわけだが…ゲームに出てきそうな村に着いたわけだ。


「えっと…?ここはどこだ?」


「ここはソルディの村なのです!」


「おわっ!?」


後ろから声をかけられたかと思えば白い髪の毛の少女が声をかけてきてるじゃないか!全く、驚くな!?


「あ、申し遅れたのです!私、村長の子供のサクラと申すのです!あなたは?」


「俺は…堀崎健二だが…」


「堀崎健二?珍しい名前なのです…」


「あぁ…夢、だからな…てか俺って夢を旅できるんだな…そろそろ俺の妄想もやべぇことになってきたか…?」


「夢…では試してみるのです!」


「へ!?」


サクラという少女が全力で振りかぶってる!やばい!嫌な予感しかしない!


「えいっ!」


「地味に痛い!?」


普通に腹殴られたから痛いよ!?

…待て?痛覚がある?てことは?


「いてて…痛いってことは…!?」


「夢ではなかったのです!」


嘘だろ?俺まだ仕事残ってるんだけど。仕事中に知恵の輪やろうとしてた人が言うことじゃないけど。

…てことは俺は本格的に異世界に?…怖っ。でも現実だもんなぁ…


「そういえばこの袋はなんなのですか?」


「そういえば見てなかったな…」


袋の中を見てみるとしよう。


「えっと…?タブレット一個とカード一枚。メモ帳とペンが一個か…それと取扱説明書…?」


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取扱説明書

このタブレットはこの世界で行える通販専用のタブレットとなります。他の用途には一切使えません。(ステータス管理は除く)

そのカードを使ってあなたが元々いた世界、そしてこの世界にあるものなら「何でも」買うことができます。小さなものから大きなものまで。タブレットで検索して、購入していただければすぐに配達業者が参ります。

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「へぇ…」


「なんなのです?」


「通販」


「通販!」


…試しに何か買ってみるか…この世界で生き延びるには…まずは換金だな。お金があるかは知らんけど。

…そういえばタブレットは普通なんだな…それとステータスも見れるんだって?見てみるか…


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健二

体力50 平均値 50

力 18 平均値 30

魔力0 平均値 10

速度25 平均値 30

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うっ…俺の運動音痴っぷりが記録されてやがる…

えっと…何々?


所持金 ∞


「…は?」


所持金∞…だと?


「どうしたのです?」


「所持金無限」


「あぁ、そのカードを持っている人にとっては当たり前なのです!」


え?なに?常識?


「まあこのカードを持ってる人は1人か2人くらいしかいないんですけどね…」


「な、なるほど…じゃあ一つ…」


頼んでみよう。この世界で生きていくためには…キャンプセットだな!

テントと…焚き火を焚くためのものと…食料品、リュックとかだな…

とりあえず買ってみよう。


購入


「よし…とりあえず買ったけど」


「すみませーん…」


「はい?」


「フォリン様でよろしいでしょうか?」


「あ、はい」


「ご注文のものです。こちらにサインをお願いします」


「は、はい…よし、確かに受け取りました」


「毎度ありがとうございましたー」


…え?早くない?


「フォリン?健二じゃないのですか?」


「偽名だよ」


「偽名…なら私もフォリンって呼ばせてもらうのです!」


「え?」


てかもう通信販売業者の人いないし…


「健二という名前は呼びにくいしここでは馴染みにくい名前なのです!でもフォリンなら馴染みやすいと思うのです!」


「なるほど…ならここではフォリンとして生きていこう」


「それがいいと思うのです!でも…何を買ったのですか?」


「俺はキャンプが好きだからな。キャンプセットを買った」


「キャンプですか!」


「まあ…この世界に来ていつ戻れるかはわからんからな。生活に使えるものは揃えておいた方がいい」


「そうなんですね…あ、ここで立ち話するのもなんだと思うので家、来ますか?」


「そうだな…じゃあお邪魔しようか」


というわけでわざわざだけど連れて行ってもらおうか。



「おとーさーん!ただいまー!」

「お邪魔しまー」


「おぉ、おかえり」


「えっとね、例のあの人が来たよ!」


「例のあの人…あぁ、こりゃ面白いことになりそうじゃな…して、そなたかな?」


「へ?」


「『バイヤー』の資格を得てこの世界に来たのは」


なんだそのカッコ悪い資格!?まあ多分そうだと思うけど…


「そもそも俺は異世界から来ました」


「その袋の中には?」


「カードやらタブレットが」


「ならバイヤーじゃな!この世界についてあまり知らんじゃろ。ついて来るといい!」



「そもそもバイヤーってなんなんですか」


「バイヤーとは、そのままの意味で『購入者』を意味する資格となっておる。別の世界からこっちの世界に飛んできた者が様々な能力や機能を持ってくるんじゃ。これを見ぃ」


「これは?」


「『異世界偉人伝』という本でな、今までにきた異世界からの来棒者が魔法によって自動的に書かれるんじゃ。最後のページにはもうそなたの名前が書かれてるはずじゃ」


第51者 堀崎健二 (フォリン)

クラス バイヤー


マジだ…てか51人も来てんのな…でも歴代だもんなぁ…見させてもらうとしよう。


「えっと…ここに載っている資格の名前を教えていただけませんか?」


「そうじゃな…珍しく、強いものから教えていくとするかの。まず、『コンダクター』じゃな。能力として『国をも支配する』としか書かれてない」


強っ。なにそれ。


「次に『ウェポン』。その名の通り、武器を錬成する程度くらいしかできないんじゃが、武器に対しての扱いの育ちが早くなる能力じゃな」


えぇ…?強くね?


「そして、3番目としてそなたの『バイヤー』じゃ」


「え」


え?バイヤーってそんなに強いの?


「まあ、強いところとして『何でも』買えるところじゃな」


「なるほど…てかこの世界ってどのくらい広いんですか?」


「あぁ、この地図を見てくれればわかる。ちなみにソルディの村は…ここじゃな」


うわっ、大陸っていうのかな?めっちゃでかいんだけど。


「ほへー…」


「まあ、自分の足で歩いて行ってみるのが一番じゃな。さっき、そなたはキャンプセットを購入したじゃろ」


「なぜ知ってる!?」


「ははっ!実はわしも転生者なんじゃがな!」


「え」


「まあそんなことはどうでもよい!」


さらっと衝撃の事実言い合ったぞこのご老人!


「この世界には現実にはいない、敵がいるんじゃ。まあゲームに出てくるモンスターやら魔物じゃな。太刀打ちできるようにならんといつ殺されても知らんぞー?でもバイヤーなら太刀打ちはできるかもな!」


「どうやって!?」


「それは…考えてみると良い!」


「お、おう?」


考えさせるよなぁ…


「ちなみに…お金を換金も出来るからリアルでも買い物をしてみると良いぞ?こういうのも割と楽しくての…」


「は、はぁ…」


「…そうじゃ!この子を旅に連れて行ってくれぬか!」


「…え?」


「私からもお願いするのです!」


「なんでなんで!?」


頭の回転が追いつかない!


「今までわしは…この子と一緒に他の国に旅行とか行ったことがないんじゃ。だから、サクラも他の国に行ったことがないからな…わしがサクラを育てるよりもそっちが育ててくれるときっといい大人に育つと見込んだ!」


「え、えぇ!?俺子育て経験無いんだけど」


「これから覚えていってくれれば問題ない!」


「だからって!?」


「その…ダメ、ですか…?」


うわっ!そういう涙目しながらお願いされるの俺結構断りにくいんだけど!くっそ…!


「あー!もう!わかったから!わかりました!」


「!ありがとうございます!」


「助かる!サクラ、出発の準備をするといい!」


「わかったのです!」


「さて、換金して買い物でもしてくると良いぞ!」


「では、ある程度見てきたら戻ってきますね」


何があるのだろうか…



「…なるほど。まあ本屋はあるだろうな」


ひとまずこの世界を知るために歴史書と地図が書いてある本を買うことにした。それと例の薬草をね。RPGっぽい世界の回復といったらやっぱ薬草だよな!


「むっしゃむっしゃマズッ!」


当たり前のことをなぜ聖徳太子の真似をしながら食べたんだろ。


「…まあ、買うものは買ったんだ。戻ろう」



「おお!戻ったか!」


「買うものは買いました。まあざっと薬草と歴史書と地図を」


「まあそれらがあれば十分じゃろ!」


「フォリンさん!私の準備も万端なのです!」


「よし…いくか?」


「はい!」


「よし!じゃあ…村長さん!ありがとう!」


「うむ!サクラ!立派になった顔を帰ってきたときに見せておくれ!」


「うん!じゃあ…行ってきます!」


こうして早くも仲間が1人、ソルディの村の村長の娘さん、サクラが仲間になった!

ボッチは寂しいもんな。

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