終幕之参「哀レナ悪魔ノ残リ滓」
》同日
皆無は璃々栖を連れて、四月一日に少女
「何でみんな、
「そりゃあ」璃々栖が空中に鬼火で『AIRAM』と書き、それを入れ替えて見せる。
「MARIAッ!!」
「聖母の名を逆さから読んでおるのじゃ。聖母を逆さ吊りにしておいて、侮辱の意志が無いわけが無かろう?」
廊下を進み、応接間に入った。
皆無と璃々栖は無言で、ソファの片側に
――そして。
「やぁ、皆無。遅かったじゃアないか?」
向かい側のソファから、声がした。
「
「お茶でもお飲み。いい
テーブルの上にティーセットが現れ、むわりとした曰く言い難い臭いが広がる。
璃々栖が顔をしかめ、「この臭い、まさか」
「そう、アタシの旧友――
蠅。聖母を侮辱する名前。暴飲暴食。
『
四月一日
皆無は南部式を引き抜き、
目の前に佇む女性が冷たく微笑む。
「そんな物騒な物を向けないでお
「何で
「そりゃあお前さんにアタシのヱーテルを喰わせて洗脳し、円滑に支援してやる為さね。それにアタシは
確かに皆無達は
「そんなことの為に、お前は
「
周囲の温度が、すっと下がったような気がした。
「戦争が、起きるさね」
「……露西亜との
「日露戦役ねぇ……そりゃまぁ十万人か二十万人か、そのくらいは死ぬだろう。けど、
「皆無、銃を下げよ」
「けど、璃々栖!」
「皆無」
「くっ……」皆無は銃を下ろす。
「それで、余と皆無は閣下のお眼鏡に叶うことが出来たのでしょうか?」
「誓って呉れるかい、先刻のようにさァ?」
「誓いますとも」璃々栖が壮絶な、悪魔の笑みを浮かべる。「この手で、この腕で、必ずや
†
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