第2話 失われた死閃
リンデの酒場に入ったマキアとアルド。
酒場の中を見渡すアルド。
マキア「アルドの仲間たちはまだ来てないのか?」
アルド「そうみたいだな。少し早く着きすぎたみたいだ」
マキア「お!美味しそうなお酒があるぞ!」
マキア「先に始めようぜ!アルド」
アルド「うーん。俺は飲めないんだよなぁ!俺はミルクにしておくよ」
マキア「え!そうなのか!じゃあ俺だけいただくぜ」
マキア「マスター!こっちのテーブルにリンデの地酒とミルクを頼む!」
酒場のマスター「はいよ!地酒とミルクな!ちょっと待ってな」
マキア「忙しそうだな。マスター」
酒場のマスター「そうなんだよ。今日は東方からのお客さんも多くてな。東方からのお酒も入ってるから良かった飲んでみるか?」
マキア「お!いいねえ!」
アルドの仲間が来るまでの間、宴を楽しむアルドとマキア。
酒場の中の喧騒の中、とある男性の言葉がアルドとマキアの耳に届く。
男性A「...でさぁ、時を止める秘宝があるっていうんだよ」
男性B「そんなのあるなら是非見てみたいね」
男性A「まぁ、呪われているみたいだから手を出すなって話だけどなぁ」
顔を見合わせるアルドとマキア。
マキア「時を止める...?」
アルド「それってマキアの言っていた刻のアーティファクトなんじゃないか?」
マキア「そうみたいだな。少し話を聞いてみるか。」
アルド「そうだな!マキアの記憶の手がかりになるかもしれないし!」
男性A、Bに近づくアルドとマキア。
マキア「なぁ、アンタ。さっきの話詳しく聞かせてくれないか?」
男性A「さっきの...?あぁ、時を止める秘宝の話か」
アルド「そう!その時を止める秘宝について聞きたいんだよ!」
男性A「あぁ、俺たちトレジャーハンターの中で伝わってる話でな。何でもザルボーの砂漠にあるって話だな」
男性A、Bはトレジャーハンターだったらしい。
アルド「砂漠...?あんなところにあるのか?」
トレジャーハンターA「ああ。何でもザルボーには遺跡があってその中にあるらしいぞ。」
トレジャーハンターA「その遺跡の中には時を止める秘宝があって使用者の時を止めるらしいんだ」
マキア「時に作用するのなら刻のアーティファクトの可能性がかなり高いな」
トレジャーハンターA「でもなぁ、その秘宝は呪われてるらしくてな。使用者の時も止めちまうらしいんだ。」
アルド「それって不老不死ってことか?」
トレジャーハンターA「まぁ、そうみたいだな。不死かどうかは分からんが不老にはなるみたいだな。」
マキア「呪いって言ってたな。不老不死なんて夢じゃないか!」
トレジャーハンターA「そうとも限らんさ。不老不死なんて悲しいだろ? 周りの人達が先に逝くだろうしな」
マキア「...そうだな」
アルド「それはそうとアンタ。随分と詳しいな」
トレジャーハンターA「トレジャーハンターの中では有名な話さ。50年以上前にとある赤髪の剣士が俺たちみたいなトレジャーハンターに警告の意味で伝えた話みたいだな」
アルド「赤髪の剣士...?なんか聞いたことあるような...?」
マキア「有益な情報だった。ありがとう、アンタ!今度一杯奢らせてくれ!」
トレジャーハンターA「あぁ、気長に待ってるよ」
豪快に笑うトレジャーハンター。
トレジャーハンターと別れた後、先ほどの話についてアルドとマキアは話していた。
マキア「さっきの話だと砂漠にあるザルバーの遺跡に時を止める秘宝があるって話だな」
アルド「でも、呪われているとも言ってたな。マキアの記憶の手がかりにはなるかもしれないが、少し不安だな」
マキア「まぁ、行ってみないことには何も分からないしな。とりあえずザルボーの住人に話を聞いてみるか」
アルド「あぁ、そうだな!ザルボーに向かおう!」
マキア「でもザルボーはここから遠いんだろう?どうやって行くんだ?」
アルド「合成鬼竜で行こう!」
マキア「合成鬼竜... 前に話してくれたアルドの時空を超える翼のことか... よし!ソイツで行こう」
リンデの酒場を飛び出し、合成鬼竜でザルボーへ向かうアルドとマキア。
入れ違いにアルドの仲間たちがリンデの酒場に入ってくる。
フィーネ「お兄ちゃん!お待たせー...ってあれ?」
エイミ「...まだ来てないみたいね」
サイラス「まぁ、まぁ、アルドも忙しいでござろう。」
リィカ「待人来ズ!デスノデ!」
エイミ「それ縁起悪いわよ...リィカ」
場面は変わり、合成鬼竜の背中に乗るアルドとマキア。
合成鬼竜「ほう、見ない顔と一緒だなアルド」
マキア「あぁ、紹介が遅れたな!俺はマキア。理由あってアルドに同行させてもらってる」
合成鬼竜「ふむ。自己紹介されたのならばこちらも返すしかあるまい!俺は合成鬼竜!漢の中の漢の艦だ!」
マキア「アンタが合成鬼竜か。話には聞いてたが、喋れる艦とは恐れ入った。さすが漢の中の漢だな」
合成鬼竜「ほう。なかなか見どころがあるヤツだ。しかしお前は... いやアルドの仲間であれば問題はないだろう」
アルド「??」
合成鬼竜の発言に怪訝そうな顔をするアルド。
合成鬼竜「で、どこへ向かえばいい?アルド。どこへでもひとっとびでつれていってやろう」
アルド「ザルボーで頼むよ。鬼竜」
合成鬼竜「了解した。よし それでは出発しよう。航時目標点 座標AD300年 ザルボー」
ザルボーの街の上空へ着いたアルドとマキア。
マキア「...本当にひとっとびだったな。どうなってんだ。」
アルド「俺もはじめて鬼竜に乗ったときは同じ反応だったよ」
マキア「時空を超える旅ってのは半信半疑だったけど本当のようだな」
アルド「信じてなかったのか!?酷いなぁ」
マキア「流石にいきなり言われて信じる方がどうかしてるぜ!アルド!」
笑いながらザルボーの街に降り立とうとするアルドとマキア。そこに合成鬼竜がアルドに話しかける。
合成鬼竜「...そういえばアルド」
アルド「うん?なんだ鬼竜」
合成鬼竜「お前の仲間達なんだが...さきほどリンデに送ってやったが、お前と待ち合わせしていたのではなかったのか?」
アルド「あ!!なんで先に言わないんだ鬼竜」
合成鬼竜「仕方あるまい!お前が俺を呼んだから用事は終わったかと思ったのだ」
マキア「まぁまぁ、さっさと終わらせてリンデに戻ろうぜアルド」
アルド「後でみんなに謝らなきゃな...」
ザルボーの街を歩くアルドとマキア。
アルド「とりあえずザルボーの街で手がかり見つけないとなぁ」
マキア「そうだな!聞き込みしてみるか!」
ザルボーの街で聞き込みするアルドとマキア。
老婆「うん?砂漠の秘宝?やれやれ皆物好きだねえ」
アルド「みんなって?」
老婆「この前も同じことを聞いてきた人がいたんだよ。フードを被った少し怪しい感じの人だったけどねえ。」
マキア「フードの人物... 俺たち以外にも秘宝を狙ってるヤツがいるってことか」
老婆「すまないけど私は秘宝については何も知らないなえ」
マキア「ありがとう。助かったよ」
聞き込みを続けるアルドとマキア。
トレジャーハンター「うん?時を止める秘宝?もちろん知ってるさ」
アルド「本当か!?」
トレジャーハンター「トレジャーハンター達の中では有名な話さ。遺跡の入り口の場所なら砂漠をまっすぐ西の方へ向かったさきにあるぜ?」
トレジャーハンター「だが秘宝を見つけれたやつはいないがな」
ガハハと笑うトレジャーハンター。
アルド「ありがとう!その情報だけでも助かるよ!」
トレジャーハンター「おう!気をつけてな!」
引き続き聞き込みを続けるアルドとマキア。
男性「うん?時を止める秘宝? 」
アルド「それについて何か知らないか?」
男性「それについては知らないけど遺跡の中なら知ってるよ。以前入ったことがあるからね」
アルド「本当か!」
男性「本当さ。僕はこう見えて考古学者だからね。あの遺跡は迷路になってるから簡単に秘宝には辿り着けないだろうね...ただ...」
マキア「ただ..?」
男性「いくつか部屋の間取りが建物の構造からするとおかしいところがあるから別の入り口や抜け道があるのかもしれないな」
アルド「なるほど...遺跡の入り口は一つじゃないってことか..,ありがとう!助かるよ!」
アルド「聞き込みした内容を整理すると遺跡の入り口は西にまっすぐ砂漠を進んだ先にあるって言ってたな」
マキア「たけど、遺跡の入り口は一つじゃないかもしれないんだよな」
マキア「まぁ、そっちの入り口の場所の情報はないけどな」
アルド「とりあえず西に向かった先の入り口に行ってみよう。」
マキア「そうだな」
ザルボーの街を出てルチャナ砂漠を西に進むアルドとマキア。砂漠を西にかなり進んだところで先の方に人影が見えた。
砂漠の砂嵐のせいで視界がかなり悪いが、目を凝らして見てみるとそれはフードを被った人物であった。
マキア「...アルド」
アルド「あぁ、一応警戒はしておこう」
フードの人物がまっすぐに2人に近づいてくる。
お互い目視できる距離に入ったところでフードの人物が話しかけてくる。
フードの人物「...ん?」
フードの人物「お前は... マキア!マキアじゃん!」
アルド「マキアの知り合いか?」
フードの人物「俺だよ俺!レイだよ!」
フードの人物は自身をレイと名乗り、フードを取る。性別は男性で髪は長めの銀髪で肌は褐色、何より男の顔には時計の針のような刺青があり、アルドとマキアは一番にその異様な刺青に目がいった。
マキア「レイ...? 誰だ... 思い出せないな」
レイ「え〜〜 ひどいな〜〜。苦楽をともにした仲間じゃないか〜〜」
レイと名乗る人物は刺青が目立つ見た目とは裏腹にかなり軽薄そうな男だなとアルドは思った。
アルド「レイといったな。アンタ、マキアのことを知ってるのか?」
レイ「知ってるも何も同じ仲間だよ〜〜〜」
マキア「...仲間?」
レイ「ちなみにキミはどなたかな〜〜?」
アルド「俺か?俺はアルド。理由あってマキアとともに行動しているんだ。」
レイ「なるほど〜 アルドくんね〜」
レイ「アルド... なるほどキミがアルドか...」
小声でレイが呟く。
アルド「でもマキアのことを知っているなら話が早いな!時を止める秘宝も探す必要がなくなるし」
レイ「時を止める秘宝ってこれのこと〜〜?」
レイは自身が着ているフードのポケットから懐中時計を差し出す。
アルド「もうすでに入手していたのか!?」
アルド「でも、呪われた秘宝って聞いたけどレイは大丈夫なのか?不老不死になってたりとか...?」
レイ「実際にはちょっと違うんだよね〜。呪われた秘宝ってのは、この懐中時計が遺跡内に眠っている間に影響を受けた宝のことだね〜」
マキア「そうなのか?じゃあ、呪われた不老不死の秘宝と刻のアーティファクトは別物ってことか?」
レイ「別物だね〜。この懐中時計が刻のアーティファクト。そしてその影響を受けた秘宝が不老不死の秘宝ってわけ〜。秘宝のほうは今も砂漠の中だけど〜」
レイ「でさ〜」
アルド・マキア「??」
レイ「マキアは刻のアーティファクトは入手できたのかな〜?」
マキア「入手?あぁこの砂時計のことなら持ってるが...」
レイ「さっすが〜。Ⅲの刻のアーティファクト 砂時計だね〜」
レイ「で。もう一つの質問なんだけど」
辺り一面の空気が震えているように感じる。アルドとマキアはレイから放たれる殺気に背すじがゾクっとした。
レイ「な〜んでマキアはアルドくんと一緒にいるのかな〜?」
突然、レイは時計の指針のような大剣を取り出し、2人に向けて斬りかかる。アルドは自身の剣を構え、マキアは槍を構え、レイの大剣を受けようとする...が、
気づいた時には、2人とも斬りつけられ怪我を負っていた。
アルド「ぐああぁぁ..!!!」
マキア「っ!なんで防御できねえ!アルド大丈夫か?」
どちらかといえばマキアよりアルドのほうが傷が深い。というより、レイはアルドを狙って攻撃していている。
マキア「くっそ!やっぱ敵だったか!」
レイ「敵じゃない。仲間だよ〜〜」
軽薄そうな男は再び大剣を振りかぶる。
アルド「大丈夫!動きは遅いから何とか耐えれる」
アルドが態勢を立て直し、レイの大剣を受けるが...
レイ「無駄だよ」
レイが小声で呟く...
突如、アルドから血飛沫が上がる!!!
アルド「っなんっで...!?!?」
マキア「アルドー!!!」
『致命傷』誰がどう見てもそうだった。アルドの傷は深く、アルドにはもう起き上がる力すらない。
アルド「ごめん...マキア... もう手伝えそうにない...」
マキア「ダメだ!アルド!死ぬんじゃない!!」
2人の必死のやりとりに死神の囁きが聞こえてきた。
レイ「いいや死ぬさ。もう助からないよアルドくんは」
ザッザッとレイの足音が聞こえてくる。マキアにはそれが死神の足音に聞こえ、震えてどうすることもできなかった。
マキアの頭の中を様々なことが駆け巡る。アルドはもう死ぬだろう。レイのあの時計の指針のような剣が防御不可能な原因だろうか。レイは自分のことを仲間と呼んでいた。なぜアルドばかり狙うんだろうか。
思考に時間を取られている間に死神は背後にまで来ていた。
レイ「終わりだ」
さきほど軽薄だった男と同じ男か疑うほど冷酷で残酷な声だった。アルドの胸に大剣が突き立てられる。
???「馬鹿者が!!」
???「コイツはもうダメだ!早く逃げろ!!逃げてお前の刻のアーティファクトを使えばよかろう!」
声がアルドの方から聞こえる。
レイにも聞こえているようで困惑していた。
どうやら声の主はアルドがいつも佩いている大剣から聞こえているようだ。
声の主は分からなかったが、マキアは駆け出しレイから距離を取り、そこで砂時計をひっくり返す。できる限り長い時間、追いつかれたらレイまで戻ってしまう。レイが後ろから駆け寄ってくる音が聞こえてくるが、時の逆流を止めるには至らなかった。
その瞬間 時は反転し、遡った。
第二話 完
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