第3話 少女は紗南だった

 俺たちが、高3年に進学する春、紗南もどきと会った火葬場の裏の裏の山を壊して、出来た大型ショピングモールへ全員ででかけた。

 

 学内推薦組の佐織ちゃんと紗南は余裕で、俺たちの予備校のスケジュールをきいていた。

 紗南もいつも通り、穏やかで、冴子ちゃんに国語を教えたり、最初はしてるように見えた。


 あの火葬場を過ぎた辺りから、冴子ちゃんの質問をきいてなかったり、紗南にしては佐織ちゃんへものの言い方が普段よりややきつくなり、他のメンバーも心配してた。


 とりあえず、他の女性陣との交流で女子力が上がった冴子ちゃんが、紗南にきいた話によると花粉症で気分が苛立っており、申し訳ないから、現地では俺と二人で行動したいとのことだった。


 俺はもしかしての思いと、気を使わない男友達認定でもされているのかという思いで心臓がドキドキしていた。


とりあえず現地について、申し訳なさそうに泥棒歩きで、退散する王貴カップルと怒ってていいたいことがありそうな佐織ちゃんを優しくなだめている和巳とわかれて俺たちは宝くじ売場の近くのベンチに座った。


 とりあえず、なにか飲み物をかってくるかという俺に、着ているカーディガンの胸元近くのボタンを右手で包んで、左手が震えている紗南はいいというように、首を横に左右へ振った。


 そんな紗南の仕草が、あの日と似ていて、君は紗南だったんだねと僕はごくんと唾を飲みながら言った。


 うなだれた紗南が、「うん。そうだよ。今まで本当のこと言わないでごめんなさい」と謝った。


 ちなみに紗南とはじめて一緒に朝まで過ごした数年先に、この時佐織ちゃんにきつかったのは、人の気持ちを優先しがちな佐織ちゃんが、和巳の誕生日プレゼントをここで買うって譲らなくて、初めて喧嘩したことと、家族仲の良い佐織ちゃんと冴子ちゃんには複雑の家庭の生い立ちは話にくかったこと、


 あげくに俺のことが嫌なわけじゃないのに、勘違いした佐織ちゃんの俺のことが好きじゃないんじゃないかって言葉が一番頭にきたんだと赤い顔した紗南から本当のことを教えてもらった。


 


 


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