第2話 少女の幻
完全に3人にバカにされながら、背中を王貴に押されつつ、俺は店内に入店した。
入り口の邪魔にならない所で、ブレザーとタータンチェックのスカートとリボンがワインレッドに統一されたA女子大学附属高校の制服に身を包んだ少女が二人手をふっていた。
ショートカットの佐織ちゃんの隣で、幸せな顔している女性こそが沢渡紗南らしいが、その子見て俺はまず固まってしまった。
乱れ髪ひとつないきれいに結われた髪の毛、先日の灰色のワンピースより子供っぽいA女子大学附属高校のワインレッドの制服とどこか幼く見えたあげくに、この俺を見ても顔色ひとつ変えず、笑顔で、「初めまして。沢渡です。今日はお願いします」と笑いかけながら挨拶をしてくる。
むしろ俺の方が変人扱いで、後ろの3人のフォローが申し訳ないほどだった。
後ろの冴子ちゃんが怒っているのか思いっきり俺の靴を踏んでくるわ、王貴の「ようよう緊張しちゃって。この色男よぉ」という掛け声も誤解だと言いたかったのが、この紗南という少女の姉妹だがあかの他人のそっくりさんに悪いようで、俺もどうにか平静を装うことにした。
とりあえず店内では今時の女子高生である冴子ちゃんが流行りの歌を歌い、佐織ちゃんは噂通り、冴子ちゃんの歌のサビを一緒に歌ったりしながら、全員の飲み物や食べ物に気を配っていた。
いちおう、王貴はものまね、和巳はクイズなどしてたし、俺も二人のサポートしてたし、沢渡さんも佐織ちゃんの手の届かないことのフォローや誰も見てない所で、冴子ちゃんに気配りを教えたり、わざと王貴の前で冴子ちゃんが良く見えるように暗躍もとい活躍していた。
そんなわけで、俺たちは気づけばつるむようになった。でも、残り2組はカップルだし、紗南と気をきかし席を離れることが増えてきて、俺たちもカップルであると両校で言われることが増えてきた。
その度に俺はうろたえるが紗南は柔和な顔で微笑んでおり、紗南のことがわからなかった。
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