彼が何を隠しているかはわからないけれど(ふゆやの新しい彼氏・あきはる)

「隠し事がないやつなんていないからさ、それに守秘義務が多い仕事なんだろ?でも話せるとこは話して欲しい一緒に暮らすってことはさ、大事だろ」

「うん、そうだね、きちんと話すよ……僕は外ではいつも演技してるみたいなものだからね」

 

 ふゆやが何かを隠しているのかはわかっていてもファミレス店長の俺には俳優業や芸能界のことはわからない。

 基本的に自分の前ではある程度自然体でいてくれることはわかってはいるが外ではいつも演技してるというのはどういうことなのか


「あきくん、僕はね糸が切れて勢いで行動することがたまにあるんだけど…でもだからあきくんと出会えた……あきくんとこの先も一緒にいるためには外ではそれを通さなくちゃいけないんだ」 

「まだ傷心の俳優ふゆやを通さなきゃいけないから新しい彼氏ができたってのは言えないってことなのか?」

「うーん……そんな感じかな、もちろんあきくんが公表していいって言ってくれるのはすごく嬉しいけど顔が出ないとしてもあきくんにまで記者が張り付くのは目に見えてるしお店に迷惑かかっちゃうよ…ドリンクバーで粘る記者ばっかになったら困るでしょ」

「頼りになるパートさん達もいるしそこらへんは大丈夫だと思うけどなー」

 

 前の店舗やさらにその前の店舗では不倫狙いのちょっと問題のある既婚パートに言い寄られたり、学生バイトが店長は女性にガツガツしてないところが素敵、などとよって来たり大変だったので今の店舗に移ってから早々にカミングアウトしたことでチームワークは良好になったのだ。(何を勘違いしたのか一部男子学生バイトには距離をおかれたりもしたのだが……俺にも好みはある)


「それなら、事務所とタイミング話し合ってみるね」

 

 困ったような曖昧な笑顔のふゆやは可愛い……何を隠していることについてははぐらかされたような気もするけど、俳優であるふゆや…………俳優という仕事を全うして上にいこうとしているふゆやを好きだと思っているのなら隠し事を教えてくれたら受け入れるのになんでだ?じゃなくて俺は隠し事をしている状態のふゆやを受け入れなきゃいけないのかもしれない。


「事務所の説得難しいかもしれないけどよろしくな、今日は新しい食器とか見に行こうぜ」

「うん!」

 

さっきとは違って明るい笑顔のふゆやを見て俺は俳優のふゆやも込みで支えていこうそう決心を固める。

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