第4話

―E班駐屯所前―



「E班の駐屯所ってここ?」


 地図を読み間違えたかと思った。たどり着いたのは工場跡地のような所。建物の壁は植物の蔓で埋めつくされて敷地内の雑草が伸びきっている。お世辞にも綺麗だとは言えない。ましてやここが軍の管轄地だなんて。


本当にここで合っているのか?


ポッケから地図を取り出してきちんと指でなぞり今通ってきた道と地図を照らし合わせてみる。うん。やはり合っている。いや、しかし……


 地図とかれこれ5分程だろうか葛藤していた時に隣から声がした。


「おーい。おーい。おーーーい」


「ちょっと待って」


反射的にそう答えたが後になって自分が声をかけられていることに気が付いて驚いた。


「だ、誰?!」


慌てて振り向くとそこにいたのは昨日の彼だった。俺を助けてくれた彼。


「ひどいなー無視しといて誰って。俺は暁烏櫂<あけがらすかいと>昨日会ってるでしょ?それに俺これでも一応ここの班長してるんだけど」


「は、班長?ここの、E班の?」


「そーだよ」


ほんとにニコニコしてとんでもないことを言う人だ。


「二三味朱狼くんでしょ今日からここだよね。ほら、早く中に入った入った」


背中を押されて有無を言わさずに工場跡地に連れ込まれた。



 これからどうなる俺。

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