第13話 おまけ

「黙れ、黙れ、黙れえ! 調べはついているんだ。

お前の仕業だということは、お天道さまがお見通しだ! 

ここは、すでに包囲していーる! 

貴様は、逃げらーれなーい!」


「あらあ、なんてこったい。

どうしてそんなに おおごえでどなるんだよ。

けっ! まるであんたのうしろにいるにんげんどもを、みせびらかしているみたいなもんだぜ。

おれはえらいんだ、つよいんだ! って、

しきりにしょうめいしようと やっきになってるみたいだぜ」

━━━━━━・━━━━━━

寝苦しい夜が明けた朝、母が、俺の記憶から消え去っていた。

そしてその日から、母に対して怨嗟の念を抱いた。


「親としての責務を果たせよ!」

「ごめんね、ごめんね。」


時折かかってくる詫びの電話。

嗚咽と共に繰り返される、詫びの言葉。

しかし日が経つにつれて、単なる雑音となった。


何の感慨も湧かず、何の感情も入ってこなくなった。

そしてそれは、決して自暴自棄の心では、ない筈だ。

と、思った。

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ブルーの住人 第6章 ブルー・じゃあず としひろ @toshi-reiwa

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