第12話 end

 そしてそんな中、何の前触れなく突如静寂を破ってー江戸幕府の前にその威厳を見せつけた黒船のドン! の如くに、地獄の断末魔と神々しき神々らの歓喜の声とが入り交じった悲鳴が、この地に飛び込んだ。


 ドアの無施錠に職員が気付いた時には、脱兎の如くに階段を駆け上がる影だけが見えた。そして直後に館内放送の声と共に、雄叫びともつかぬ声が大空に響いた。


 一瞬間、全てが止まった、凍りついた。

 時の流れでさえ止まった。

 四方を壁で閉ざされた世界から、全てが青空の下に移された。

 見渡す所には何もなくーまた何かが欲しいと思えばそこにあるような気もする。


 その世界は、一方では貴く気高い紫の世界であり、又一方では人間の持つ主我的という業火の世界であった。


 すべては終わりを迎えた-end。

 異国語で、THE END.

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