第11話 神

 人々が忌み嫌う虫たちの生きる様。

 じめじめとした地中において、もぞもぞと蠢いている虫たち。

 しかし虫たちに罪はない。


 あるとすれば、創造主たる神だ! 

 神! 神! 創造主だと? 

 良かろう、神が人間を作り給うたとしよう。


 支配者として作り給うたのか?

 この地において、まさしく支配者たれるのか?


 神は、人間を忌み嫌っておられる。

 なぜなら、……、分からぬのか?


 ほんとうに分からぬのか? 

 だとすれば、やはり人間は嫌われている。


 虫たちは、ただただ、生きている。

 己がこの地にあったことを、神に知らしめるために。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る