第6話 蝶々
くどくどと念を押す女医に反感を抱き、その指示をことごとく無視した。じっくりと時間をかけて、当初思い浮かべたこととは反対に近いことを答えた。
こうもりに見えた図柄に対して
「蝶々だね、これは。誰がなんと言おうと、蝶々だ!」
と、勝ち誇ったように告げた。
「蝶々じゃなくて、その前に感じたことはありませんか? 時間をかけすぎてますよ」
いらだつ女医に対して、「あんたが嫌いだ!」と叫び、最後には黙りこくってしまった。
ぷいと横を向いたきり、一切の返事をしなかった。
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