第5話 天井
このところ、何をする気にもならずにいる。日がな一日を、白く塗られた天井をじっと見つめているだけだ。
白? いや白ではない。ベージュっぽい白だ。そして所々にしみのようなものがある。それを見るにつけ、心にざわざわと嫌な感じがおきる。
銀縁の眼鏡をかけた女医に見せられたシートを思い出してしまうのだ。ロールシャッハテストと呼ばれる検査を思い出してしまい、いらだちが増してくる。
「これから絵を見て貰います。最初に思い浮かべたことを言ってください。考えちゃいけません。直感を言ってください。すぐに答えてくださいね。正しい答えはありませんから、大丈夫ですよ」
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