第4話 彩色
「お前、いくつだ? 婆あに用はないぞ。出て行け!」
憎まれ口を叩いた折に
「女性に年齢のことを言うのは、ルール違反だぞ。お母さんよりは若いから、お姉さんにしてね」
と、軽くいなされた。
そして姉として認めてくれたからと、ごっちんこが始まった。ほのかに匂う石けんの香が、波立つ心臓を穏やかにしてざわつく胸をしずめてくれる。処方される薬など、何の役にも立たない。はるかにごっちんこが勝る。
不安な思いも苛立つ気持ちも、何もかもがすーっと消えていく。モノクロの部屋でさえ、フルーツ色に彩色された部屋に変わっていく。
薬をゴミ箱に捨てた時のこと、「悲しいわ、これは」と、涙目を見せられた。以来、渋々ながらも薬を飲むようにした。でそのあとは、決まって頭が朦朧として眠りに入っていく。
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