第11話 ダルマさんが転んだ①
ある日の放課後、美海と郁美は学校の友達数人と遊んでいた。
折角小学校に通っているのに、毎日魔法の練習では、友達との時間が作れないから。と、お姉さんが言ってくれたので、誘われた時は遊ぶ事にしたのあった。
クラスは違うが、郁美も誘ったのはもっと彼女の事が知りたいからだ。
美海が住んでいる町は、比較的自然が残っていた。
JRの駅を挟んで東側には大型のスーパーと、住宅街が広がっている。
西側には、市役所や学校が密集しており、その奥には田んぼが広がっていた。
その田んぼの中に古墳がいくつか点在しており、小学校の郷土学習では、昔からこの地域は稲作が盛んだったのだと教えられていた。
学校の裏には丘があります。背の高い木がうっそうと茂っている。その中に幅の広い長い階段があり、頂上はひらけた広場と、端の方に小さな祠と腰の高さくらいの可愛い鳥居が3つ並んで置いてあった。
夏にはその階段から駅に向けて、出店が並ぶお祭りがあり、地域の小学生は毎年このお祭りを楽しみにしていた。
春の陽気に誘われたのか、近頃は昼間でも田んぼからヒキガエルの鳴き声が聞こえる。
同じクラスの男子の発案で、丘の上の広場に集合する事になった。
美海が、着いた時には皆集まっており、全部で8人いた。
美海がこの場所に来るのは、久しぶりだった。
一昨年までは、お婆ちゃんと頻繁に来ていた。
お婆ちゃんは 、地域の友達と一緒に広場と長い階段の管理をしていた。
階段と広場の草むしり、祠の拭き上げを月に1回。美海がついて行くのは、お手伝いが終わった後に、お供えしたお菓子を貰うのが目当てだからだった。
広場を見渡すと、腰丈の3つ並んだ鳥居が目についた。
コレをくぐると健康になれると、おばあちゃんに教わり 、小さい頃は来るたびに潜っていた。
それから、しばらくぐった記憶はない。
まだくぐること事が出来るのかと、好奇心にかられ、郁美を誘って挑戦した。
並んだ最後の、一番小さな鳥居はギリギリだったが、二人はなんとかくぐる事が出来た。
気が付くと、男子はみんなで、ダルマさんが転んだをやっていた。
今、美海のクラスの男子の中では、空前のダルマさんが転んだブームが起きている。
男子ののノリは子供っぽいので、たまにツボが何処にあるのか、わいらない時がある。
しかし、やったらやったで楽しいので、二人も参加する事にした。
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