第2話 友

私は心の命ずるがままに動いた。

そのつもりであり、今もそう確信している。

が、友の新一に言わせれば、「踊らされている」となる。

私としては、思うがままに動き、思うがままに言葉を発し、そして結果を得ている。

しかし新一は、「踊らされている」と言う。


私が新一といつ如何にして知り合ったのか、二人とも明確な記憶を持っていない。

いつの間にか私の前に現れた。

どこに行くにもいつの時も、二人一緒だ。

家族よりも、その間柄は濃密だ。

しかし新一のことは、家族の誰にも話していない。


新一は、人生を否定的に考える癖がある。

人間は決して満足しない生き物だと考えている。

それ故に、人間は不幸でしかあり得ないと言う。

私とは相容れない思考癖がある。

そのことから、あの「踊らされている」という言葉になっていると思える。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る