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部屋の電気を
奥の
コンコン。ドアがノックされて、月人が返事をするまえに、あかるい笑顔をみせたシャーロットが入ってきた。
白色のこそばゆい長袖。その、
「行きましょう。もう用意はできたわよね?」
「うん。行こう」
鍵を受付に預けてしまうと、ふたりは、並んで、夜の温泉街へと溶けていった。ふたりの影は、明暗をくっきりとさせている。まるで、その影さえ、息づいているかのように。――
大通りは、
歩みを深めるたびに、だんだんと橙色のランプはうすらいでいった。
そして、大通りの突きあたりにいきつくと、闇のとばりのなか、柵の向こうに、うっすらと鋼鉄のレールが見えた。二台の電車が沈黙している。それらは、悪い夢をみていた。
月人は、この街のほろ酔いが、なにかたいせつなものを、見えなくしてしまっているのではないかと思った。
「帰りましょう」
ふたりは、冷たい水を、こころにかけられたような気分になってしまった。
ふと、右に視線をうつすと、その先に、小さな学校があった。それは、ひとりぼっち、卵色の街灯に照らされていた。
この学校もまた、秘めやかに眠らされているのだ。
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