頂点の戦い

『champ kingdom』

それは、黒川建設と呼ばれる、、建設業界の頂点と呼ばれる会社を設立した男、黒川 迅が設立した裏格闘技団体である。その表では見れない戦いの数々は、人々を魅了し、大繁盛となる。目的はチャンピオンによるチャンピオンを決める戦いである。色んな格闘技のチャンピオンが集まるのはもちろんのこと、アマチュアから実力で這い上がるものも存在する。誰もがチャンピオンを目指せる場所、その反面各格闘技のチャンピオンも集まるため、初心者が入っていける余地も少ない。そんな場所に、格闘技経験未経験から3年でそのチャンピオンになった男がいた




「この人こそが、百獣の王!我らがチャンピオン! 金剛 力也選手だ!! 」



入場ゲートから力也が入場すると、共にリングアナの声が響き渡る。力也は、観客に手を振りながらフィールド中央まで歩く。その時、観客席につく、黒川と昴流を見つけたのかそっちの方向へニコッと笑顔を向ける。


「そんなチャンピオンに立ち向かう挑戦者は、この人!!!スポーツ空手最強の男、その速さ!雷鳴の如し!身長179センチ!体重85キログラム!日本空手会の新星!豊田 天翼(とよだ つばさ)ここに見参!」


力也が出てきた方の逆のゲートから、黒髪ショートヘアー、空手道着を来た男が現れる。その風格は、虎のようであり強者としての力を感じられる。


「両者揃ったことでルールの説明だ!!この『champ kingdom』に階級なんて存在しない!軽量級から重量級まで誰でも戦える夢の祭典だ!そして、決着のつけ方を説明するぜ!」


リングアナは淡々とルールの説明を始める。説明をまとめると、こうだ。


1つ、この戦いに階級は存在しないこと。

2つ、決着の付け方は『ノックアウト』『ブラックアウト』『ギブアップ』の3つである。

3つ、観客は、1000円からどちらかの選手に賭けることができる。

4つ、武器は禁止、己の体のみが武器である。

5つ、お互い全力を尽くして戦うこと

6つ、相手を殺してはいけない


『ノックアウト』とは、相手を倒し、5秒間立ち上がらなければ勝ち。しかし、ここはなんでもありの格闘技、確実に決着の着くような倒し方じゃなければ、ダウンは宣告されない。


『ブラックアウト』とは、相手を気絶させることで勝利となる。


『ギブアップ』相手が自らギブアップを宣言することで勝利となる。



以上がここのルールである。



「じゃあ、お互い定位置について、正々堂々戦うこと、、いいね?」


白と黒のシマシマの服を着た審判らしき男が、フィールドの真ん中にたち、2人に忠告する。2人は、少し離れ定位置につき、構える。

豊田は、オーソドックスの形で半身で構え、ステップを取っている。空手家の中でもスポーツ空手特有の構え方だ。それに対して、力也は、体を正面に向け、両腕を下ろし、ノーガーの状態、無の構えである。


「それでは、、、始めぇ!!!」


審判の開始の合図と共に動いたのは、豊田の方だ。スポーツ空手は、先に相手にダメージを与えるスポーツ。一撃、一撃が勝敗を分けてしまう。そのために、豊田は、誰よりも速く当てる道を選んだ。それ故に、一瞬で間合いをつめ、挨拶がわりに中段突きをおみまいする。


しかし、その拳は、空を切る。力也は、読んでいたかのように体を横にして、突きをかわす。その後、それに合わせるように、右拳を突き出した。さすがにこれではかわすことはできない。しかし、豊田も実力者。かわさずとも拳の当たる位置を調整し、おでこに当たるようにし、ダメージを軽減。これにて、お互いの初弾は終了となる。


その後、お互いに素早い攻防を繰り返す。攻守が目まぐるしく変わるようだ。しかし、均衡がここで崩れる。力也の喉を狙う貫手。力也の格闘技は伝統空手をベースとし、その後、ボクシングやムエタイ、テコンドーなどの打撃系の格闘技のハイブリッドである。つまり力也は、打撃のスペシャリスト、打撃相手なら引けを取らないし、弱点も理解している。


スポーツ空手は当てることに長ける。その速さ、ヒットさせる技量、目まぐるしい攻防戦、攻撃を受けるすべ当てる当てられるに対しての技はピカイチである。しかし、伝統空手と徹底的な違いがある。それは、拳と蹴り以外の技スポーツ空手はグローブをしており、危険な技の使用は禁止されているはしかし伝統空手には、危険な技が多々存在する。貫手、手刀、鉄砕、肘打ち下ろし、その使い方は当てる部位も異なる。それが故に豊田は、普段狙われない部位に対して、反応が出来なかった。確かにスポーツ空手は受けも強い当ても強い格闘技、しかし、この場において、ダーティプレーなんてものは存在しないことそれが敗北の一手となる。



喉に突き刺さる貫手、豊田は、呼吸がしにくくなり、苦しそうに、首を抑えた。しかし、その瞬間!力也の三日月蹴り、相手の肝臓を狙う云わば蹴りのリバーブローだ。呼吸がしにくい状況、その状況でくらう内蔵への攻撃、相手を果てしなく苦しめることだろう。


その後トドメをさすように、上段への右回し蹴りにより、終幕とした。豊田は、苦しみのうちに打ちのめされる。審判はダウンを宣告するが、その状況をみるにそれも必要ないと試合を終了とした。


「勝者! 金剛 力也!!!」


勝利の宣告が鳴り響く、それと同時に歓声もドッと湧く。それを見ていた昴流は、強さという世界にのめり込むようにその世界を見ていた…








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弱者の頂点 ワンダフル @03823

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