第4話 女勇者のイケない声!
戦場にいる者の殆どが恐怖に染まる中、蹂躙は続き。遂には80人いた勇者たちも一人を残し、全ての者が地に伏していた。数人は苦しんでいるが、その他の者たちは全く動くことがない絶望的な状況だ。そんな状況下に一人残された女勇者は既に戦意を失い、恐怖に震え座り込んでいる。
あどけなさの残る少女は、恐怖から瞳に涙を溜め震える。そんな姿にアンドレアスは高笑いながら。
「フハハハハッ。異世界人よ、これが戦いだ。これこそが戦場だ。そしてお前が感じているそれが恐怖であり、意志もなく戦場に立ったお前の報いだ。戦場の意味も知らずに、踏み入った愚かな自分を恨むのだな。ハハハハッ」
アンドレアスはそう告げると、女勇者に近づいた。その恐怖に耐えきれなくなった女勇者は命乞いを始めた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。なんでもします。許してください!」
なりふり構わず、必死に許しを請う女勇者。その姿は勇者ではなく。もはや、泣きじゃくるただの少女だった。
アンドレアスはそんな少女を頭を、眉一つ動かす事なく掴み上げる。そのまま持ち上げられ、宙に浮いた少女は悲鳴を上げ、浮いた足をバタつかせる。アンドレアスが掴んだ手の力を強める。少女の悲鳴が、「アガガガガッ」と女性が出してはいけない様な声へと変わる。
「やめなさい魔王。彼女は既に戦意を失っています」
アンドレアスに止める様に言うのは、地に伏した満身創痍の聖教会の聖女。そんな状態となっても、その瞳は強い意志を失ってわず、アンドレアスを睨んでいる。声を掛けられたアンドレアスは聖女を見る。二人の視線が交わると、アンドレアスはニヤリと笑い、何も言わずに掴む手に力を入れる。
「キサマァァッ」
怒りをあらわし怒鳴る聖女。握る手に力を入れ、そのまま女勇者の頭を握りつぶそうするアンドレアスに、鬼の様な形相を浮べる聖女。そんな聖女を無視して、アンドレアスがさらに力を入れようとした時だった。
「そこまでだ魔王。その手を離せ」
そこに居たのは黒のローブに身を包む黒髪の少年だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます