第11話 2度ある事は3度ある。でも良い事は3度もなくないですか??
《現実 運営 香村視点》
「なあ香村。ムースカ達ってどのくらいゲームに出てるんだ?」
「ムースカとあと3人。他にサブのチーム地球教(笑)も出ています」
「マジか、ゲームバランス崩れそうだな」
「ムースカは頭が悪い子ですから、プレイヤー次第ではあるのですが」
「テストの時、お前が無双しただろうが。チーム地球教(笑)もお前に潰されてからチーム天空城に改名してたし」
「今日からのイベントは、相棒キャラによって盗賊の頭となるキャラが違いますから、該当のプレイヤーがここで足踏みすれば良いかと」
「まあ木村さんには、問題はありませんでしたって言っちゃったしな。プレイヤーには悪いが難易度を上げて、埋もれてもらうのが良さそうだ」
「ムースカ以外のキャラにも対処が必要ですからね」
「野盗のボスはレベル準拠だからな。ムースカの敵は相当強い奴が選ばれるはず。強い奴が選ばれて、それにも勝っちゃうが最悪のシナリオか。今回の最強の敵はたしか・・」
「張飛(男)です。初期では勝てないはずですが、念の為に呂布(女)も入れました」
「ほぼ最強キャラじゃねーか!」
「どーした井本君。大きな声を出して、問題発生か?」
井本の大きな声に木村リーダーが声をかけ、香村と井本に近づいてくる。
「どーしたんだ? 問題発生なら速やかに対処し報告しろ」
そこは報告後に対処だろと思う。会議でも順調です以外の報告は叱責で報いるのが我が社の社風だ。
「順調です」
二人は声を揃えてそう答えた。
《ゲーム》
どう見ても美少女なのだが、物騒にも背丈よりも長い槍を持っている。あの細腕で長槍を振り回すなんておかしくないですか?きっとベジタブル関係の名前に違いない
「本当は砦の中にいないといけないんだけどね。倒せば一緒なんだからね」
その口調は何処か懐かしく、なんとなく女神(小学生)を彷彿とさせた。
美少女に槍の穂先を向けられると圧を感じて体が固くなる。殺気といやつなのだろうか、動けない。
「ムースカ助けろよ」
「難しい。シロウよ、そやつは強いぞ。下手に動けば私が動くよりも速くシロウは刺される」
ムースカは台詞とは裏腹に無造作に近づいて来た。
「おいっ おまっ」
「えいっ」
ムースカへのクレームが言い終わらないうちに、美少女の槍が動いた。
胸に衝撃を感じると、足が浮き、後方に飛ばされる。今度は背中に衝撃。
また砦に叩きつけられた。1日2回も壁に埋まるなんて事が今まであっただろうか、いやない。
胸が痛い、痛すぎる? あれっ痛いで済んでいる・・。
槍が向けられた胸は痛みこそあるが、血も出ていない。
「頑丈になったと言っただろう」
ムースカは槍を構えた少女から目を離さず、シロウを助け起こす。
シロウは固くなっただけで、あの少女の相手は出来ないだろう。繰り出された槍は尋常じゃなかった。
本来であればいかなる敵も相手では無いが、今のムースカは槍を喰らえばお終いだ。
「シロウ、私が砦に入りコアをとる。それまで耐えろ」
「断る!」
「・・・」
ムースカは助け起こしたシロウを少女に向かって突き飛ばした。
箱庭戦争 隣の芝生は青く見える。 ウメヨン @umeumeshiro
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