第3話 チュートリアルの戦いはスキップ派です。
「ムースカ、村づくりは何からすべきだと思う」
「シロウ、村とは何だ?」
おっ!ダメ元で聞いたのに何か言いそうな雰囲気だ。
「村か・・考えたことないな」
「そんな事も考えていない奴が、村づくりとはな。笑える」
ウゼェ、相手が孔明とか信長なら教えを請うために頭も下がるが、相手がムースカな訳ですよ。思い切り突き倒したい。
「おっ、何だ。私の両肩に手を置いて、さては私の話が余りにも深そうだから、感動したのか、、、」
ゴチンッ!
「ムースカ。アドバイスがあるならさっさとしろよ! そこまで言って何も無しでは、痛い目にあわすからな」
「いったーいっ! シロウ、痛い目にはあっている。既にあっている。私は痛みもダメだぞ。痛みはただ痛いだけだ。ただオラオラされるのは少しいいかもしれない・・」
「うるさい! 早く教えろよ。下らないアドバイスは要らんからな」
「じゃあ、とっておきを、」
ムースカが話し出すと、話を遮るようにシロウサマーと呼ぶ声が聞こえる。声のする方を見ると、村長が走り寄って来る。
元気な爺さんだ。爺さんで溢れかえるであろう国、日本。村長を見ればまあ良いんじゃないかと思える。
「シロウさん、野盗です。野盗がこの村に来ます」
領土ゲームでありがちな、戦闘チュートリアルだろうか? 最初のキャラで一蹴できるはずだが、チラッとムースカを見ると、おでこを抑えて涙目だ。負けもあるのか・・・
こっちですと走りさる村長を追いかけて行くと、野盗が見えた。
20人くらいだろうか? モヒカンにモヒカンにモヒカンだ。いや一人だけ異様に大きい男がいる。
カサンドラ出身の皆さんだろう。
「シロウ様、どうしましょうか?」
「戦える人はいますか?」
村長の問いに、シロウは集まっていた村の人達に向かって声をかける。
プルプルと手を上げた村長!エライ!
それ以外は眼を逸らしているけど。
「ムースカ、あいつら倒せるか?」
「倒せるかと聞かれたら余裕だが、私は攻撃するのに条件があるのだ。私は自身にダメージを受けると、その何倍もの攻撃を敵に返す事ができる。その名もフルカウンぶっ」
「お前は何だ、大罪か? 憤怒担当か?」
ダメだこいつ駄目だ。面倒臭い。とりあえず口を塞ぐ。
「おいっお前ら!金と食いもんだ。出せるだけ出しな」
大男の肩に乗った男が声を張りあげている。
どうする? 俺は戦えるのだろうか?
「ぶっ、そどば」
口を抑えられたムースカが何やら言うと、盗賊に向き直る。
「ぴね」
カッと見開いたムースカの目からビームがでた。盗賊チュドーン!
「さっきのシロウの頭突き分だ」
思わず手を離してしまった。おいおい何倍だよ。コイツすげー強いんじゃないのか、、。
◇
さてと、どうするんだっけ。
村を周りながら瑠璃の言葉を思い出す。畑→名産所→商人誘致だったかな。瑠璃から関平が言ってた事を教えてもらったから丸パクリだ。ムースカに聞くのはやめて、関平の言う通りにやるとしよう。
「おいっ、シロウ。さっき言っていた、とっておきを連れてきたぞ」
ムースカの声に振り返ると一人のオッサンを連れている。
スキンヘッドに濃い顔パーツのオッサン。
「私はドリアン・ルビントゥキーだ。商人をしている」
・・面倒臭いのが増えた。
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