何でも選べるお店

「あの、コーヒー下さい」

「いらっしゃいませ。まずは豆をお選び下さいませ」

「わ、種類が多いですね」

「百種類以上の豆をご用意しております」

「これでいいです」

「では製法はどうされますか?」

「それも選ぶの?」

さらにフレーバーは?カップは?スプーンは?ソーサーは?座席は?と立て続けに質問された。

もう大変だ!

「では給仕は誰にしますか?」

「そこまで!?」

僕はムッとしてレジのお姉さんを指名した。

「え、私ですか!?」

「そう!ただ持ってくるだけじゃダメですよ。キツネ耳つけて、割烹着を着て、お盆に載せて運んできてください。僕のテーブルにカップを置いたら、向かいの席に座って、両手で頬杖をつき、上目遣いで『よく帰って来たのーお主、よしよしなのじゃ。今日も一日お疲れさまなのじゃ〜』と言うこと!」

はわわ…と、お姉さんは慌てふためいた。

「は、はい。かしこまりま…なのじゃぁ」

かわいかった…!

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