第35話
「なるほど、キャノンか! 」
レイの表情が晴れた。
「で、どうすればいい? 」
俺はレイにメモを返した。船を操作しながらレイはメモを確認する。レイは一通りメモを見てから、俺に説明を始めた。
「向こうの空きスペースを改造してキャノン砲が取り付けられているみたい。その部屋に入ってすぐのところにレバーがあるから、それを下げて。そしたら後はこのメモに沿って動かして」
「わかった」
「頼んだ」
「うん」
レイからの説明を聞き終えた俺は急いでキャノン砲のある部屋まで走り始めた。エドの改造によって、この船には武器が搭載されていた。いざという時の緊急手段としてレーザーキャノン砲が船の空きスペースに備えられている。今の船の状況では一回しか使えないが、エドのメモによると一撃で船体に穴を開けられる程の威力はあるという。このキャノンを使って、俺は地上からの銃撃を止めようとしている。
俺はキャノン砲が置かれている船室に入った。直後、船内に衝撃が走った。あと一回の攻撃で船は壊れる。俺は壁に取り付けられているレバーを下ろして、船のハッチを開けた。強烈な風が船内に吹き渡る。風が吹いている中で、キャノン砲がハッチが開くのと連動して外に出て行く。これで砲撃体勢が整った。あとは照準を定め、エネルギーをチャージして発射するだけだった。
『バリアの効力が切れた! 早くして! 』
レイが船内アナウンスで俺を急かした。急がなければならない。俺はメモに書いてある手順に沿ってキャノンのエネルギー充填を始めた。数十秒で準備が整う。俺は操作パネルで地上に狙いを定める。標的はドン・ボラーの宇宙船。モニターで地上の様子を確認する。
狙いを定め終えて、エネルギーの充填を終えたキャノンの発射準備を行う。計器の操作に慣れていなかったが、思っていたよりも簡単に準備を整えられた。
俺は発射スイッチに目を向けた。今撃たないと、俺たちは死ぬ。地上で俺たちを守ってくれたみんなのために、俺はこの一発を放つ。
「頼む…… 」
俺は発射スイッチを押した。すぐにキャノン砲が眩い光を放って、エネルギー弾を発射した。モニターから見える地上では、ドンの船が五回目の銃撃を始めようとしている。間に合ってくれ。俺にはもう、この状況から生き延びられることを願うしかできなかった。モニターを見ると俺たちのキャノンが標的に命中した様子が映し出されていた。命中して、小規模の爆発が起こっている。どうやら向こうの船の銃口に当たったようで、もう攻撃が来ることはなかった。
俺はハッチを閉めて、レイのいる操縦室へと戻ることにする。その途中で俺はセイジのいる部屋へと入った。どうやらセイジの意識が戻っていたようだった。
「大丈夫か? 」
俺がセイジに尋ねる。セイジはにこやかな顔をして返事をした。
「…… ああ。問題ねえよ」
俺はセイジを連れて操縦室へと向かった。
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