第四章

第34話

 レイはすぐにエンジンを起動した。昨日の時よりも鈍い音がしている。


「じゃあ、行くよ…… 」


 レイの合図で船が離陸しようとする。だが、うまく離陸できずに変に傾いた体勢で地面を擦る。地面を抉っている衝撃が船内に響き、俺は倒れないようにするので必死だった。レイは苦しそうな顔をして、計器類を操作している。レイは船の体勢を立て直そうとしているようだった。


 程なくして、体勢を立て直した船は空に向かって飛びはじめた。ゆっくりとした速度で高度を上げていく。


「これ以上の速度って…… 」


「応急処置だけではこの速度が限界だった」


 レイからの返答にはどこか悔しさが混じっている。だが、それをじっくり考えていられる程の余裕は俺には無かった。直後、何かが船体を掠った音がしたのだ。


「なんだ! 」


 俺は急いで窓から外を覗くと、ドン・ボラーの船から銃撃を受けたようだった。


「まずい。あの部下たちはまだ俺たちを狙ってる」


「なんだって! 」


 状況を理解したレイはポケットから取り出した一枚のメモを俺に投げ渡した。


「これは? 」


「エドがこの船に取り付けてくれた装備の一覧! これであの船からの攻撃を防がないと! 」


 船内に再び衝撃が響いた。二発目が発射されたらしい。俺は急いでメモを見る。何か、何か攻撃を防げる装備はないだろうか。このままだと、船が破壊される。するとメモの中にこの状況を凌げることのできるある装備を見つけた。


「レイ! レーザーバリアだ! バリアを張って! 」


「そうか、バリアがあった! 」


 俺は急いでレイにバリアを張る方法のメモを返した。レイはすぐに計器を操作してバリアを張った。直後、三発目の銃撃がバリアによって防がれた。バリアのおかげで、前の銃撃の時よりも衝撃はなかった。俺はエドの技術力を改めて凄いと思った。するとレイが話を切り出した。


「今は攻撃を防げたけど、このバリアは長くは持たないよ」


「どのくらい持てるか? 」


「あと銃撃を二回は耐えられるくらい」


 レイの話を聞いて俺は焦り始めた。このままではあと三回銃撃を受けたら船は今度こそ壊れてしまうからだ。俺はレイに尋ねる。


「あとどのくらいで宇宙空間まで行けるか? 」


「そうだね……、あと十分あれば」


 俺たちが宇宙まで到達する十分であとどのくらいの攻撃があるだろうか。俺は他に攻撃を凌げる手はないかとレイから再びメモを借りた。その最中に四発目の銃撃があった。あと一回の攻撃でバリアは効力を失う。俺は焦りつつも冷静さを保ってメモを見つめる。


「あった…… 」


 一つ、攻撃を凌げる方法が見つかった。それは一回しか使えないが、一回だけで十分な程の手段だった。俺はこれに今の俺たちの運命を賭けることにした。


「レイ、一つ手が見つかった」


「どんなの? 」


「レーザーキャノン」

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