第27話

 案内された部屋は荘厳な雰囲気に包まれていた。壁には簡単な物から高度な物までありとあらゆる武器が、まるで武器の進化を表しているかのような配置で立て掛けられている。扉の左右の横には槍を持った女性二人が表情を一切変えずに立っている。程なくして、案内をしてくれた方の動きが止まった。俺たちもそれに合わせて歩みを止める。


「ここでお待ち下さい。すぐに村長が参ります」


 そう言って彼女はゆっくりした歩調で部屋を出ていった。部屋には俺たちとドア横の二人しかいない。時計を見ると目覚めてからはそんなに経過していなかった。五分程経って、豪華な装飾を身につけた、この場にいる他の人達よりも歳を重ねているであろう女性が向こうからやってきた。彼女は俺たちのもとへ近づいてきた。


「はじめまして、私の名はシエナ。この村の村長です」


「はじめまして、シエナ。僕たちは…… 」


「大丈夫です、レイ。先程、勝手ながらあなたたちの事を調べさせていただきました」


 村長は表情を崩さすに俺たちにこの五時間ほどで何をしたのか説明してくれた。俺たちが動物用の罠に引っかかってしまったことに気がついたが罠の仕組み上、すぐには降ろせなかったこと。罠の電気ショックで気絶した俺たちを村まで運んだこと。運び込んだあとで、村の設備で俺たちの記憶を覗いて、俺たちがどういう状況に置かれているのかを知ったということ。それらを丁寧に説明してくれた。


「大変でしたね」


「すみません。巻き込んでしまって」


 俺は申し訳なくなって村長に謝った。彼女は少し微笑んだだけで咎めはしなかった。俺にはそれがただ、ありがたく思える。


「残念ながら、ドン・マダーに渡せそうな資金を私たちは持ってはいません」


「そうですか…… 」


 俺は不謹慎ながら無いと言われて少し残念に思った。二人も落ち込んでいるように見えた。すると村長が、


「ですが、向こうの山にある鉱山で採れる鉱石は、もしかしたら価値があるかもしれません」


「どういうことですか? 」


「…… ついて来てください」


 村長の言葉で俺たちには一筋の希望が見えた。村長は急ぎ足で歩き始めた。俺たちは彼女の後を追う。少数の護衛と共に村長と俺たちは部屋を出て、建物を出て、自動運転の車に乗った。どうやら、この村の技術はだいぶ進んでいるようだった。車を走らせること一時間。車は山の中腹を進んでいた。タイムリミットまで残り十時間強。この山で採れる鉱石とはどのような物なのだろうか。俺は焦っていた。焦っている間にも車は更に整備された夜の山道を進んでいく。車の中は無言だった。村長の顔にも次第に汗が現れはじめている。どうやら、この車の中の全員がそれぞれの命のために戦いを始めようとしていた。

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