第26話

 惑星アマゾネスの大気圏に到着したのは、出発してから三時間後だった。残り二十一時間。その間にドンが気に入りそうな物を見つけなければならない。俺たちは着陸できる場所を見つけて船を停め、歩くことにした。窓から辺りを観察すると、この一帯には森林と大きな河川しか存在せず、誰も人が住んでいるようには見えなかった。


「…… さっきは殴って悪かった」


 船を停めて、いざ外へ出ようとした時セイジがぎこちなく俺に謝ってくれた。


「いいよ。俺の方こそ悪かった」


 俺がセイジに返事をすると、奥からレイもやってきた。


「ワタル、…… 生きてまた旅を続けよう」


「ああ」


 レイとセイジの言葉を聞いて、俺は嬉しくなった。俺はレイとセイジの過去や気持ちの全てを知ることなんてできないけれど、二人との確かな絆があることを改めて噛み締める。


「行こう」


 船の出入口を開けた。残り二十時間。なんとしてでも生きて、この三人で旅を続ける。そう決意して俺たちは船を出た。


 歩くこと二時間の時点で目ぼしい物は見つかっていない。俺たちは更に歩き進めた。このままじゃ、まずい。俺は少しばかり焦っている。レイとセイジも焦りを顔に浮かべていた。しばらく歩いていると俺の足に何かが引っかかった。その瞬間、急に足元がすくわれた。


「うわあ! 」


 どうやら、レイとセイジも巻き込まれてしまったらしく、気がつくと俺たちは誰かが仕掛けた罠にかかってしまったようだった。


「誰か! 」


 レイが叫んでみたが、特に返事はない。こんな罠、誰が仕掛けたのだろうか。俺たちがしばらく混乱していると、茂みの向こうから何人かの人が現れた。相手は銃を携帯している。よく見ると、全員女性だ。


「なあ、アマゾネスの意味って知ってるか? 」


 小声でセイジが尋ねてきた。俺はすぐに返事した。


「知らない」


「そうか。じゃあ教えてやる。アマゾネスっていうのは神話に出てくる女性だけで暮らしている部族のことだ」


 その時、俺はあることに気がついた。この星は未開発なんかじゃない、女性だけの集団が暮らすための隠蓑だったのだ。そう思った瞬間、電気が身体中を走った。本日二度目の衝撃だった。気を失う直前に腕につけた時計が見えた。残り十七時間。果たして生きて出られるのだろうか。意識が途絶えた。


 目を覚ますと、俺は毛布に包まっていた。二人も気持ちよさそうに起きてきた。どうやら、相手方は俺たちを丁重に扱ってくれたらしい。その直後、俺と同じ歳くらいの女性が一人で部屋にやってきた。


「先程はすみませんでした。経緯の詳しい説明も兼ねて、村長がお詫びをしたいと申しております」


「…… わかりました」


 俺たちにはそうすることしかできなかった。ひとまず、俺たちは村長の元へと案内された。時計を見ると残り時間は十二時間。あと半日で何かを見つけられるだろうか。外に目を向けると日が落ち始めていた。

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