第16話

 目が覚めてふと窓の外を見るとまだ外は暗かった。何時だろうかと思い部屋の壁にかけられた時計を見ると時刻はまだ朝の5時くらいだった。一体何時間しっかり眠れたのだろうか。レイとセイジに目を向けると二人はまだ眠っている。とてもいい寝顔だったので、俺は二人をそのままにして部屋の中にある洗面台へと向かった。


 洗面台にたどり着いて、顔を洗う。それが俺の朝の日課だった。顔を洗い終えてタオルで拭いていると、ふと気になったことがあった。今、俺たちが出て行った地元はどうなっているのだろうか。それが気になった俺はデバイスですぐに検索をかけた。検索結果はすぐに出た。町のニュースサイトを見ると、大見出しに“町内高校の生徒3名が行方不明”の記事が見つかった。様子を見ると町内は俺たちの件でかなり騒いでいるようだった。町長までもが捜索に力を入れているのだという。俺はこの記事を読んでもなんとも思わなかった。だが、二人がどう思うかまでは俺には想像できなかったから、俺はレイとセイジにはしばらく黙っておくことにした。


 そうしていると、ドアを叩く音がした。俺が応じてドアを開けるとそこにはエドが立っていた。彼は機嫌良さそうに挨拶をした。


「おはよう」


「おはようございます」


「これから朝ご飯だ。二人を起こしてダイニングまで来てくれ」


 俺は頷いてそれに応じた。すると彼はすぐに向こうのほうへと歩いていった。ドアを閉じた俺はすぐに服を寝巻きから着替えて、二人を起こした。二人はとても眠そうだったが、なんとか準備を整えて部屋を出た。


「なあ、今日はエドがどこかへ連れて行くって言ってたよな。どこへ行くんだろうな? 」


 ダイニングまで歩いているとセイジがそう言った。確かにエドはどこへ連れて行くつもりなのだろうか。俺たちは歩きながら少し考えてみたが行き先は全く思い浮かばなかった。後で冷静に考えるとそれもそのはずで、俺たちはこの星に何があるのかさえ詳しく知らずに来ていたからだった。ダイニングへと着くと、すでにアルフレッドがテーブルに朝食を並べてくれていて、エドも席に座って俺たちを待っていたようだった。


「おはよう諸君。今日はかなりの長いドライブになるから、今のうちに好きなだけ食べておけ」


「ありがとうございます」


「では、遠慮無く」


「いただきます」


 エドの挨拶にそれぞれ返しを入れると、俺たちはすぐにご飯を口に入れた。


 二十分ほどかけて食事を済ませた俺たちは、少しの手荷物を持って屋敷内の庭に出て、エドの車へと乗った。


「では、行くぞ」


 そうエドが言うと、車の自動運転装置が作動して、設定された進路を走り始めた。屋敷が少しずつ遠くなっていく。よく見るとアルフレッドが手を振り続けている。


 俺は開いた窓から入ってくる外の空気が少しだけ美味しいと感じた。

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