第14話
俺たちはエドに連れられた勢いで彼の運転する車の中にいた。時間帯は既に夜の七時となっており、辺りはとても暗く、町の中心部からも少し外れた道を走っている。目的地はエドの自宅で、車に乗る前に聞いた話だと、今からあと十分はかかるとのことだった。
車内はしばらくの間静かだったが、ふとしたタイミングでエドが一息をついて、運転を自動モードに切り替えて話を始めた。
「なあ、君たちは家出でもしてきたのかい? 」
その通りだった。俺たちは今、家出をしてこの車の中にいる。どうして見抜けたのだろうか。
「…… どうしてわかったんですか? 」
気になった俺がエドに尋ねた。すると、彼は少し微笑んだ様子で答えてくれた。
「なあに、簡単なことだ。君たちのような子を大勢見てきたからね。私には直感的にわかるのだよ」
俺たちはその答えの真意がその場では、よく分からなかったが、何か、自分たちが大事にすべきことを受け入れてくれるような安心感をこの紳士は俺たちにもたらしてくれた。
『自宅前に到着しました』
またしばらく無言が続いていたが、車の人工音声が、アラーム音と共に目的地への到着を告げ、車が停車した。目を窓の外に向けると、前方には大きな格子状の門が立ち塞がっていた。
「待ってろ。今、門を開けるから」
エドがそう言って車から降りて門の方まで向かった。レイは少し驚いた表情で、
「これが、おじさんの家? 」
と問いかけた。エドが門の横にある装置を操作し終えると、門が自動でゆっくりと開かれはじめる。彼は自動車のキーを操作すると、自動車の方もゆっくり動きはじめて、門の向こうへと走る。
「ようこそ! 我が家へ! 」
彼は大きな声をあげている。俺は呆気に取られて少し混乱した。レイもセイジも同じ思いだったらしく、セイジは少し小さめの声で
「マジかよ…… 」
と呟いていた。
門をくぐった先には二つの建物が建っていて、一つは豪華絢爛の言葉が似合う大昔の建築様式が取り入れられている手入れの行き届いた大屋敷。もう一つは、大きなガレージの様な建物で、周囲には様々な工学部品が散乱していた。
車から降りて大屋敷の中へと入ると、一人の老男性が立っていた。格好からするに召使いのようだった。
「お帰りなさいませ、エドワード様」
「ただいま。アルフレッド」
アルフレッドはエドの脱いだジャケットを手に取ると何も言わずに去っていった。
「今のは私の召使いのアルフレッドだ。さて、ご飯にするとしよう。彼にご飯の相談をしてくる」
そう言ってエドもアルフレッドと同じ方向へと歩いていき、この場には俺たちだけになってしまった。
「なんか、とんでもねえことになったな」
セイジが小声で俺とレイに話しかけた。俺とレイは共感の意で大きく頷いた。これから俺たちはどうなるのだろうか。そう考えている間にエドが戻ってきた。
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