最終話 継続するかどうかはね。

「変なところで、質問をして悪かったね。さぁ、続けてくれたまえ」

「(さっきの、少し考え込む時にした、イリヤの こぶしを顎の辺りに持って行く仕草は、可愛いな。質問をする度に、あの仕草が拝めるのならば、たくさん質問を投げ掛けても良いかも知れない)」


「からかうような事は、よして下さい。続きを始めましょう」


「すまない。からかったつもりは無いんだが…」

「(やはり、イリヤと話していると、緊張してしまう時があるな。一定の距離まで近づくと、こうして壁を作られてしまう。弱ったモノだ。もっとイリヤに近づきたいのに)」


「ハイ、分かりました。承知しました。覚悟はできております。……では、ヨツ様、この世界を構成している、他の神様をご存知ですか?」


「うん? 随分と漠然とした質問だね。 それは、たくさんいらっしゃるだろう。でも、人々に密接な関わりのある神と言えば…

ホーシー、 オーヴェイン・ハート、

ピーヴィー《PV》、レヴィアー。

この、4柱だろうか?」


「そうです。そのお考えでお間違いはないと、思います。付け加えるなら、神 コメンティウヌスも、人々からの信仰は盛んに受けています」


「そうだね、忘れていたよ。でも、コメンティウヌスはどうなんだい? たしか、二面性を持つ神であったように思うが…」


「そうです。おっしゃる通りです。それでも、人々が、活き活きと世界に向けて、生きている事を語り続けるには、この5柱……、すいません、フォウロウワー神を加えた6柱の恩恵が必要になってきます」


「イリヤ。 イリヤは生きていたいかい? 僕らの物語を紡ぎたいかい?」


「それは……、 それは、もちろん生きていたいです。 けれど、やはり神の恩恵を受けないと…… 神がヨツ様のように、お優しい方であれば良いのですが……」


「そうだね。 イリヤ。 時間は有限だ」


 私は啓示保持者モダニアである。

 ヨツ様が何を言おうとしているのか、ヨツ様が話す前から分かっていた。その決心も覚悟もひしひしと伝わっていた。


「僕はまだ、世間を知らない。だから2人で冒険に出よう。僕も少し勉強したんだ。GCU規格をクリアすれば、冒険に出れるのだろう?

僕らが頑張っていれば、神もお認めになってくれるかも知れない」


「ヨツ様……」


 知らぬ間に、そんな事をお考えになっていたとは……


私が感動していると、ヨツ様の心の声が聞こえて来る。


「(あぁ、どうしよう、勢いで冒険に誘ってしまったが、断られたら、今後どんな顔をして会えばいいのか分からない。それに、立場上、イリヤは断りにくいではないか……僕は何て浅はかなんだ。 でも、受けてくれたら、それはそれでどうしよう? 2人で旅をするなんて……よく聞くぞ『◯◯と⬜︎⬜︎が2人きり、何も起こらない訳はなく…』

って、何が起きるのか知らないけど、何が起きるのかを知りたい)」


 決心と覚悟はホンモノだけど、ヨツ様はやはりバカだ。1人にはしておけない。


「わかりました、一緒に冒険の旅に出ましょう」


 そうは言ったものの、旦那様や奥様の顔を思い浮かべて、あのお二人が、そう易々とヨツ様を旅に出すとは思えない。


 出発前から前途多難な冒険になる事を、私は覚悟した。


(どうか、6柱のご加護のあらんことを……)

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敏感 超聴覚系な私にはわかってしまう、よくわからないことを恥ずかしがらずに積極的に聞いてくるヨツ様……の気持ち 神帰 十一 @2o910

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