第4話 神話の話しをするのよね
……と、感傷には浸ってられない。
私はヨツ様を一人前の当主にしなければならない責務がある。
「では、今日はこの世界の成り立ちについてご説明します」
「分かった。よろしく頼むよ」
「(まるで小鳥のような声だ。ピヨピヨと動く唇も可愛らしい。そう言えば、庶民にはキスと言われる、唇を使った挨拶の習慣があると聞く。今度、イリヤに教えてもらおう)」
「ダメです」
「えっ?」
「いえっ、何でもありません。いいですかヨツ様? 今回は神話の面から、世界の成り立ちについてアプローチして行きます。
私たちの世界で神話は一つしかありません。それはご存知ですね?」
「あぁ、知っているとも。神であるカークンと、ヨームン。この2柱がこの世界を作ったって話しだろう?」
「(イリヤめ、簡単な質問に答えさせて、ボクを褒めて、やる気を出させるつもりだな。なんて優しい配慮なんだ。 イリヤがボクを褒めてくれたら、百万倍にして褒め返してやろう。……でも、ボクは女性を褒める言葉を余り知らないな。コレも今度、イリヤに聞こう。『何て言って褒められれば君は喜ぶんだい?』
どうだろう?…イリヤは照れて、答えないかも知れない。もしも、答えないようなら、答えるまで、質問責めにしてやる)」
「どんなプレイですか、…」
「えっ?」
「そうです! さすがヨツ様。よくご存知です。『虚数に降臨せし、カークンとヨームンが交ぐわうと、文字と言葉が生まれた。2柱は、その文字と言葉で世界を構成す』そのように、創世記『カドカワール』には書かれています」
「続いて、『2柱は世界をカクセインとヨムセインの2つに分けた』とあります」
「それが貴族と庶民の起こりかい?」
「どうなのでしょう?そこら辺は、まだ 研究が進んでいないようです。学者によって、色々な説があるようですが……」
「イリヤはどう思うんだい?」
「……私はそう思っていません、カクセインだから、とか、ヨムセインだから、とかは無いように思います」
「(イリヤがそう思うのなら、そうなのだろう。学者が蘊蓄を垂れようと、世界はどうせ不安定なモノだ、ならば僕は、優しいイリヤが見ている世界を、真実としよう)」
「……どちらだから、どう。と言うのは無い。と言うのが、私の考えですが、ヨツ様もヨツ様で、キチンとご意見を持たねばいけません。それには、土台となる知識が必要です。 さぁ、続きを始めますよ?」
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