地図書き

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第1話 地図書き

俺は世界地図を書いている。

まだ、この世界には世界地図はない。

今までにも、世界地図を書こうとした者は沢山いたが、

書こうと挑戦した者 全員が未完成のまま終わってしまっている。

世界はそれほど広いのだ。

結局、地図を書こうとする者は居なくなってしまった。

しかし、俺は世界の形が知りたかった。

特に理由はなかった。

何故だか、知りたくなったのだ。

俺は地図を書く旅に出た。

当然、定職に就ける訳はなかったので、日雇いの仕事で食いつなぎながら

地図を書いた。

その旅は楽しいものだった。

そして、俺は最後の場所に来ている。

そこは小さな島だった。

そこ以外の地図は完璧に書き終わっている。

その島は他の人が書いた未完成の地図には載っていない島だった。

俺は島に上陸した。

この島に来るまでに思っていたよりも時間がかかってしまったので到着した時にはすでに空は暗くなってしまった。

俺は島の草原のような場所にテントを張ると、寝袋に入った。

次の日、起きてみると周りには建物が多くあった。

小さな集落があったらしい。

俺は海岸沿いに出て、島の輪郭を調べた。

島の形は円のようなものだった。

俺は喜んだ。

これで、世界地図が完成したのだから。

俺はボートに乗って、自分の船に帰る前に建物を探索することにした。

建物は複雑に入り込んでいたが、罠のようなものは無かった。

そのおかげで、俺の現在位置だけ考えておけば迷うことなく進むことが出来た。

建物の迷路を何時間か進むと大きな部屋に出た。

そこには一つの箱が置いてあった。

その箱を用心深く開けてみると、中には一枚の紙が入っていた。

紙を手に取って見てみると、そこには俺が書いたこの島の地図が入っていた。

太古の言語で書かれているせいか俺には全く読めなかった。

俺はここで休憩しようと水筒を取り出した。

水分を補給しながら周りをよく見渡すと、何か違和感を感じた。

壁の壁画が船に関するものが多いのだ。

俺も探検してきたから、色んな壁画を見てきた。

ただ、これは他の船の壁画に比べて、異質なものだった。

その壁画は絵というよりかは設計図に近かった。

俺はもう一度、箱を調べた。

すると、もう一枚の紙が入っていた。

その紙には何も書いていなかった。

すると、俺の足元に水が流れ込んできた。

その水はだんだん増えてきた。

俺は気づいた。

この紙に何も書かれていないのは、この島がなくなるからなのだ。

船はこの島から逃げるために設計されていたらしい。

俺はこの紙を箱に戻した。

多分、この箱は防水性能があるのだろう。

俺の世界地図完成の夢は他の人に任すことにした。



※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

また、この物語はフィクションです。

実在の人物、団体などとは一切関係はございません。


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