容疑者はコーハイ③
「それで、どうなった?」
「顔を強く打ったんでしばらく起きあがれなかったんスけど、誰かがボクの後ろにいるような気配を感じたッス。それで急いで
先輩は、力強くうなずいた。
「そのとき
「そういえば、少しねっとりと
「なるほど……。それで、そのあとに他のぬいぐるみたちの様子を見たか?」
「そうッスねえ……カメは、のんびりと
「ミミとギンは?」
「
「オレもギンを見なかった」
「そうッスか……。あれ、そういえば先輩、昨日の夜はどこに行ってたんスか?」
急に自分に話題を振られた先輩の
「オ、オレか? オレのことは、どうでもいい」
予期しなかったであろうボクの質問に、先輩は少しあわてただけで
さすがは、
すぐに元の落ち着いた表情を
「よくわかった。次の事情聴取は、カメだ。すまんがコーハイ、カメをここに呼んでくれ」
と言って、ボクにカメを呼びにいかせたのである。
リーバー先輩の助手とはいえボクは容疑者の
部屋の
カメは「うん……わかった……」と
ぬいぐるみ犬探偵による事情聴取というシチュエーションでも、カメの動きは変わらない。
ぼそぼそゆっくりと話すカメに、先輩はちょっとイラついた表情を見せながらも、
次に
カメに呼びにいかせても時間の
ちょこまかと短い
先輩は、もこもこの前足で器用に
最後の事情聴取は、ウサギのミミだった。
メメの伝言を聞いてぴょんぴょんとリーバー先輩のもとに向かったミミは、先輩に聞かれたことに、
先輩は、自分よりも背の高いミミの周りを一周するように歩き回りながら、意味ありげにミミの言葉にうなずいていた。
しばらくして、ウサギのぬいぐるみであるミミが、事情聴取から
すぐに集合の
遠目でよくわからなかったが、何やらそこで捜査していたようだ。
結局ボクは、この同行も許されなかった。助手という立場で何もできないのは、本当にもどかしかった。
その数分後――。
リーバー先輩がリビングのソファーに戻り、人間には聞こえない周波数の声を
「今から、事件の
謎解きという言葉を聞いてときめいたボクの
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