ペンギンの溺死②
――まあ、それはそれとして、人間なら多分真っ暗であろうリビングをスイスイと進んでゆくボクたち。人間には見えなくても、ぬいぐるみの目にははっきりと見える。
音をたてないよう、そっと部屋のドアを開けようとしていた、まさにその矢先だった。
ぎゃああ!
ボクらの
「あれはギンの声ッスよ……」
そうつぶやいたボクに、きりっと
ちなみにギンっていうのは、青い、オスのペンギンのぬいぐるみ。
先輩はゴクリ、と
「これは
と
廊下を音もなく疾しっ走そうし、お
「お前たちも聞こえたか」
「ええ、もちろん。あれは
先輩の質問に自信ありげに答えたのは、ミミだった。
ミミは、この家の
「でも、ここはお風呂場よ。ワタシたちぬいぐるみの大たい敵てきである『
ミミに
「もしかしたら……ペンギンの血が……騒さわいだのかも……ね」
ぽつりぽつり、のんびりと
「何よ、ペンギンの血って!?」
メメが黒く円らな瞳(ぬいぐるみは大体そうだけど……)を向け、カメに
「だって……ペンギンだもの……泳ぎたいに……きまってる……でしょ」
「ペンギンったって、ぬいぐるみなのよ。泳げるわけないじゃない!」
「ああ、じれったいわね!」
メメとカメの会話をさえぎったのは、ミミだった。
「とにかく、中に入ってみましょう! ここからギンの声が聞こえたのは間違いないんだし、ギンのことが心配だわ」
リーバー先輩は、ミミの顔を食い入るように見つめたあと、
「ミミの言うとおり、ギンのことが心配だ。とにかく入ってみよう」
と言って、鼻をねじ込こむようにして
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