第2話『セックスフレンド~2』

「安田明日香です」

 アッシュ系のショートヘアで小さなピアスをした君に恋をした。


 人数合わせで参加した合コンで僕は君と出会った。


 その頃の僕は遠距離恋愛の難しさを感じていたし、別れの気配をいつも打ち消そうと必死だった。


「ごめんなさい、彼氏がいるので」

そう言う君を狙っていた参加者の落胆ぶりは確かに感じたけれど、その場だけでも楽しく過ごそうとしていたし、あわよくばその彼氏ととって代わろうとする男たちもいたのは確かだった、それくらい可愛い女の子だった。


 何度目かの席替えの後、僕は君と話をした。

 読んでいる本や好きな映画の話で盛り上がった。



 一次会は終わり、参加しない人何人かと夜の街を歩く。

 その中に彼女もいた。

小柄で僕の肩に届くかどうかわからない君……


「よかったら一杯飲んで帰りませんか?」といつの間にか彼女に声を掛けていた自分の大胆さに驚いた。


「あっ!───彼氏に叱られちゃうか──」


 慌ててそう言う僕に彼女は言った。


「大丈夫です、彼氏はサービス業なんで、休みもぜんぜん合わなくて」と寂しそうに笑った。


 ◇◇◇


 気がつくと僕たちは抱き合っていて、彼女のベッドで夜を過ごした。

 それは探し求めていたジグゾーパズルのピースを見つけたみたいに、何度も溶け合い愛し合った。


 僕たちの関係ってなんだろう。


 彼女は「セックスフレンド」だねと、ちょっぴり寂しそうに呟いた。

 気まずい沈黙が流れたのは一瞬で、彼女が何かを思い出したようにつぶやいた。


「社会人になってからの恋人って、なかなか難しいよね」


 おもむろに顔をあげた彼女の瞳が、まっすぐに僕をとらえた。


 その日から僕と彼女の恋愛未満の関係が始まった。



 ……To be continued

(次回完結します)

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