短編集💜大人の恋愛小説始めました💜
あいる
第1話『セックスフレンド』
初めて会った時に私はあなたに悲しくて小さな嘘をついた。
お互いに傷だらけだったそんな夜に二人は出会い、傷を舐めあっただけなのだと思い込もうとした。
金曜日の夜は二人の時間を過ごす、映画を観たり、買い物をしたりカフェでお茶を飲んだり、居酒屋でお酒を飲んで同じ部屋へと帰る。
そして土曜日の朝それぞれの日常に戻る。
そんな生活を半年以上も続けている。
「セックスフレンド」
都合のいい名前をつけているだけで、単なる恋人未満の関係。
彼は過去の恋人よりも繊細な手つきで私を抱く。
彼が極端に上手なだけ?
私のかつての相手が下手だっただけ?
いやそんなこと、べつにどっちでもいいや。思考も身体も、ただただ決まって、彼の手に、口に、身体に、言葉通り溶かされていた。
彼は、必要以上の話はせず、どちらかといえば無口で無愛想なタイプだった。でもベッドの上での彼はとても優しく、彼との行為で、私は今までの人生で一番、女性として大切に触られた感覚を覚えた。
お揃いのマグカップや歯ブラシは過去の彼氏のものだけど、そのままにしておいた。
彼女がいるのかなんて聞かない私は居心地がいいはずなのだ……都合のいい女で十分だった。
だけど……いつからなのか会うのが苦しくなってきた。
セックスフレンドではなくて恋人として私をみて欲しいと思い始めたから。
いつもは掛けない電話をかけた
あなたは少しびっくりしたような声で悲しくなる。
「どうしたの」
そんな優しい声で聞くから私は涙声になる。
「明日香、どうしたの?」
私はやっと絞り出すように答える
「会いたいの……」
「週末じゃないのに? 」
やっぱりあなたは私のことをなんにも分かってなかったんだよ。
「ううん、ごめんなさい」
そう言ってスマホを閉じた。
一人の夜は本当は嫌いなの、もうこれ以上寂しい夜は嫌だ。
──優しい嘘で、いつだって騙してくれていたね。あなたの手のひらで、まだ踊っていたかったよ──
私は最後のメッセージを送る。
ずっと好きだったんだよと想いを込めて。
……To be continued
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