第58話 [テスト前夜、そして朝]
その後は俺と唯咲で簡単に夜ご飯を作り、朔とリビングで三人で食べることに。
「おー!これお前らが作ったの!?すんげーうまそー!!」
今日作ったのはひき肉をレンコンで挟んで焼いたものと、その他諸々だ。
まあハンバーグをレンコンで挟んだみたいなものだ。
だがこれでひき肉は無くなってしまったし、レンコンだけが微妙に残ってしまった。
明日パソコンでレンコンを使った料理を探してみるか。
「食べていいか!?これ!!」
「ああ、いいぞ」
「いっただきま〜〜す!んー…ンマイッ!」
唯咲の料理技術が最初と比べてだいぶ上達したので料理時間が短くなった。
「ふふふ…師匠も食べてくださいよ〜。僕、家に帰ってから料理の勉強たくさんしたんですからね〜?」
唯咲は俺にニマニマとした笑みを浮かべながらそう言ってきた。
「まあ上達したのは確かだからな。よくやった」
「えへへ〜〜!」
頭をなでなですると喜んだような声を出し、上機嫌で俺たちが作った料理を食べ始めた。
「……こいつらまさか……な……」
朔はジトーっとした目で彼らを見つめていた。
〜〜
「ご馳走さま…っと、俺らこれからどーするー?」
「朔、皿は水につけておいてくれ。……そうだな、もう一度勉強しておくか」
「うへー……」
キッチンに向かう途中の朔はとても嫌そうな顔をしていた。
「別にいいだろう。勉強はどれだけしても損はないと思うぞ?“無駄だった”と思うときもあるかもしれないが、いつか役立つ時が絶対にある」
「ほへぇ、なんで説得力あるんだ?」
「……さあな」
まあ前世で最強になれたのは努力のおかげだからな。
努力がなかったら俺は凡人…いや、凡人以下にでもなっていたかもしれない。
人生の中で努力が報われなかったと感じるときもあるだろうが、俺は不死だったので努力の成果を何度も感じた。
だからこそ努力を大切にしたい。
今の俺を作り上げている大切なものだ。
それに……俺には努力しなければならない理由がある……。
あの出来事を繰り返さないためにも———
「師匠?なんか顔が暗くないですか?」
俺はソファに座っていたら、唯咲が膝に手を置いて俺の顔を覗き込んでいた。
「……なんでもない。勉強の続きをするぞ。くくく、三科目全て八十点以上を目指すぞ!」
「えぇぇ!?い、いけるでしょうか……」
唯咲は絶望した表情になっていたが、帰ってきた朔はわっはっはと笑ってこう言った。
「俺には無理難題だな!」
「やる前から諦めるな……」
「潔さが俺の良いところだ…ッ!」
「勉強に関しては粘り強さが大事だと思うぞ」
その後は風呂に入ったり、勉強したりした。
唯咲は当然のようにパジャマと制服を持ってきていたが、朔も“絶対こんなイベントあるだろうと思ってたぜ〜”と言いながらパジャマと制服を見せつけてきた。
どうやら感が冴えるらしい。
勉強は夜遅くまで続いたのだが、俺含め全員が寝落ちしてしまった
〜〜
「うおぉぉ!起きろお前たち!遅刻だぞ!?」
俺は急いで目を覚まして制服に着替え始めた。
「んー……もうちょっと……もうちょっとだけ……」
「強也も一緒に寝てセットでハ○ピーセットよ……。おもちゃもらえるかもしんねぇ……すー、すー…」
俺が声をかけたのに全く起きる気配がなく、目を閉じたままであった。
「全く……おい唯咲、“破門”という言葉を聞いたこと———」
「起きます起きます!今起きました!いっぱい起きたので破門にしないでください!!」
ガバッと起き、慌てた様子で支度をしていた。
「あとは朔だが……どうするか。おい朔起きろ」
「ん゛ー……おやすみョォォ……」
「しばくぞ。……そうだ」
俺はキッチンに向かい、そのままコップに入った水を持ってきた。
そしてそれを朔の耳に入れた。
「あー……あぁぁ!?ぼぼぼっ!この川深…じゃなくて何しとんじゃワレェェ!!」
「お、やっと起きたか」
朔が怒りながら起きた。
「何してんの!?おまっ……何してんのぉ!?」
「国語のテスト範囲にことわざが入っていただろう?“寝耳に水”だ」
「物理的にするんじゃねぇよ……」
俺たちは急いで準備をして学校へ向かうのであった。
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