第57話 [朔、参戦!]
その後美疾以外は黙々と勉強をした。美疾は開始三分でギブアップしていた。
時間が経ち、そろそろ日も沈む頃なので勉強会を終了した。
「うー……勉強のしすぎで頭痛いよぉ……」
「……ミトがちゃんと勉強したの、だいたい十分ぐらいしか……」
皆は玄関でバッグを持ち、靴を履いている最中だ。
「あれ?なんでコイツはバッグ持たないで俺らを見てんだ?」
朔が俺の隣に立っている唯咲を指差しながらそう言った。
「え?だって今日も師匠の家で泊まるから」
「今日も……?」
座り込んで靴を履いている静音が動きを止め、ギギギと音を立てながらこちらに振り向いていた。
アホ毛はギザギザ、なぜか怒っているようだ。
「ねぇ、強也……本当に、何もない……?」
「??どういう意味だ?」
静音は靴を履くのをやめ、俺にずいっと近づいてきた。
「いや……その……えと……(ストレートにはちょっと言いづらい……)」
俺が意味を聞こうとすると突然アホ毛があたふたと動き出した。
「……!」
強也は頭の上にハテナマークを浮かべていたが、朔は何かをハッと察していた。
そしてニヤリとした笑みを浮かべながら二人に話しかけた。
「なぁ!今日俺も泊まっていい?」
「む?」
「なっ!?」
「……!」
強也、唯咲、静音とそれぞれが反応をしていた。
ちなみに美疾は頭が痛いらしく、うーんと唸りながら壁にもたれかかっていた。
「俺は別にいいぞ」
「くっ……師匠がいいならばいいでしょう……チクショウ」
俺は別に二人から三人に増えたぐらいでは何も変わらない。
なぜか唯咲はぐぬぬと言いながら朔を睨みつけていた。
「……ナイス、歩兵」
静音は朔の肩にポンと手を置き、アホ毛がグッドマークの形になっていた。
「え、俺捨て駒的ポジションなの?せめてスパイがいいよ」
静音と朔がよくわからない話をしていたがまあいい。
それから女子二人は家へ帰り、俺の家には男三人が残った。
明日も学校があるので早めに夕飯を作ることに。
「いよしっ!晩飯は俺に任せろ!」
朔がウィンクしながらピースしていた。
「お前……夕飯は作れるのか……?」
「ふっふっふ……強也よ、俺をなめてもらっちゃぁ困るぜィ」
おお…なにやら朔からオーラが出ている気がするぞ。
……気がするだけだ。
ここは朔の料理も気になるので任せることにした。吉と出るか、それとも凶か、作ってからのお楽しみだな。
「僕たちは勉強でもしてますか?」
「ああ、それがいいだろう」
俺と唯咲はキッチンを後にし、リビングで勉強を再開した。
数分後、黙々と勉強を進めているとドーン!という爆発音がキッチンの方から聞こえてきた。
「むっ!敵襲か!?」
「戦じゃァァ!!」
俺たちはすぐさま立ち上がってキッチンにいる朔の安否を確認しに行った。
「朔大丈夫か!敵はどこだ!」
「あ、強也」
キッチンは食材まみれで料理道具も散乱していた。
朔は無事なのだが、汗を垂らしていた。
「……キッチン爆破してごめん☆」
「それぐらいは日常茶飯事だ!それより敵はどこだ!俺たちから逃れられると思うなよ!」
「思うなよっ!」
荒れたキッチンで朔は床で座り込み、強也と唯咲はおかしなポーズをしているなんともカオスな状況になっていた。
「いや……敵とかいないし大丈夫だから……」
「なんだと……?」
事情を聴くとただ単に爆発したらしい。
さらに詳しく聴くと、電子レンジで卵が爆発し、鍋で煮込んでたらなんか爆発したらしい。
「……なんか爆発したってなんだ……?」
「え?俺に聞かれても〜」
「いや、お前が一番わかるはずだろう」
とりあえず朔は廊下に正座させた。
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