第55話 [勉強会①]




 俺たちは弁当を食べ終え、各々のクラスへと帰った。

 そして特に何もなく授業が全て終わった。



「師匠!行きましょう!!」

「強也、行こうぜ!」


「ああ」



 朔と唯咲はもうすでにバッグを持っており、いつでも帰れる状態であった。

 俺もすぐに今日勉強する予定の教科書などをバッグに詰め込んで一緒に教室を出た。



「強也……行こ……」

「それじゃレッツゴー!」



 教室の外で静音と美疾が待っており、早速自分の家へ帰ることにした。



「そういえばお前たち金は持っているのか?」



 俺たちは駅へ向かっている途中で皆に問いかけた。

 今から電車に乗るのだから金がなければならない。



「俺は普通に持ってんぞ」


「僕も師匠の家にいつでも行けるようにこのチャージするカードを買いました!!」


「あたしも普通に持ってるから大丈夫」



 三人は大丈夫だったが、静音はよくわからないカードを出してきた。



「これで……大丈夫……?」


「なんだそれは」



 真っ黒で、金色の文字で色々と書いてある板であった。

 電車で使えるものではない気がするのだが……。



「いっ!?それブラックカードじゃねぇか!」


「ぶらっくかーど?朔、なんだそれは」


「おめっ……ブラックカードと言ったら大抵のものそれだけで買えちまうやばいカードだ!」



 なるほど……危険物とな……。特に何も感じないのだが相当ヤバイものらしい。



「はぁ……使えないのか……」



 静音のアホ毛はションボリと垂れ下がっていた。



「小銭などは持っていないのか?」


「何か買うとき、だいたいこれ……」


「では今回は俺が出そう」


「……申し訳ない……今度何倍かにして返す……!」


「いや、たった数百円だから問題ないのだが」



 そんなこんなで話しているうちに駅へ着いたので、金を払っていつもの駅まで向かった。



「最神くんの家って結構近いんだねぇ」


「うむ、近いのだが交通費も高校が払ってくれるから電車なのだ」


「美疾は遠いのか?」


「んー、まあまあね」



 俺がいつもこの電車に乗るの天伸駅に着いたら俺の家まで向かった。


 歩くこと数分、俺の家までたどり着いた。



「ここが俺の家だ」


「結構……大きい……」


「へー!俺んちマンションだからいいなぁ」


「あたしの家より少し大きい」



 別に普通の家だからまじまじと見ることではないだろうに……。

 そして唯咲、お前はなぜ満足そうな顔をしているのだ。



「とりあえず中に入れ」



 とりあえずリビングのソファの場所でくつろいでもらうことにした。



「強也!ちょっと家の中探索していいか!?」


「なぜ……別に構わないが荒らすなよ」


「オッケェイ!!」



 朔はなぜか俺の家の探索を始めた。


 俺は人数分のコップを用意し、冷蔵庫に入っていた緑茶を注いだ。

 そのコップを机の上に置いた。


 各々が勉強の用意を机の上に置いた頃に朔が帰ってきた。

 揃ったので早速勉強会を始めることにした。


 机は少し大きい正四角形。俺の正面には朔、左側には唯咲、右には静音と美疾がいる。



「む……むむむ……」


「強也……早速……?」


「うむ…」



 やはり数学は苦手だな…。



「ここをそれぞれ二乗して……それを引いて……」


「そういうことか……助かったぞ!」



 静音にわからないところを教えてもらい理解するこができた。

 だが隣から視線が送られてきていた。



「師匠!僕だってこれぐらい解けます!!次わからないところがあったら僕に言ってください!!」



 唯咲よりも静音のほうが頼り甲斐がありそうなのだが……。

 まあ次は唯咲に聞いてやるか。面倒なことになりそうだしな。



「む?」



 静音の隣にいたはずの美疾がいなくなっていた。



「ぐでぇ〜……」



 と思ったら床に寝転がっていた。



「どうした美疾」


「勉強飽きた……」



 何をしにここへきたのだ…?始まってまだ二十分ぐらいしか経っていないぞ?



「やっぱ脳みそ働かせるには甘いもの食べなきゃ……」


「ほう……。それは一理あるな。よし、ではあともう二十分ぐらい経ったらおやつ休憩としようではないか」


「マジ!?やった!」



 美疾はガバッと起き上がり、早速問題を解こうとしていた。

 だが持っているシャーペンは全く動いていなかった。



「シズ…助けてぇ……」


「はぁ……ほんとに、バカ」


「バカっていうなし!!」



 朔は黙々と勉強をしている……と思っていたら絵を描いていた。だがそれは呪いの絵みたいなものだった。



「朔……何を描いているのだ……?誰かを呪うつもりか……?」


「は?強也何言ってんだよ。どう見ても猫だろ!」


「猫、ねぇ……」



 この世界に来てから実物は見たことないが、ネットなどで見た猫と朔の描いているものはかけ離れたものであった。



「勉強しにきたのではなかったのか?」


「あ……そうだった」



 これは勉強会とよんでいいのか?

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