第53話 [救世主]
唯咲と別れた後はそのまま家に帰り、冷凍してあったハンバーグとご飯を温めて食べた。
風呂に入り、下着などを洗濯した後はすぐに寝た。
〜〜
「ふわぁあ……」
今朝は早起きして五時半に起きた。理由は弁当の具材を作るためだ。
下へ降り、早速キッチンに向かって料理を始めた。
今日の具材にするものは卵焼き、アスパラと人参をベーコンで巻いたもの、あとはミニトマトとタコさんウィンナーだ。
卵焼きは以前と同じように作った。余った分は朝ごはんに回す。
アスパラと人参を棒状に切り、茹でる。茹で終えたらキッチンペーパーで水を拭き取り、ベーコンで巻く。
それを焼く前にウィンナーを切り、タコの形にして焼く。それに爪楊枝を刺して弁当に入れる。
一回作ってみたかったのだ。
ベーコン巻きは醤油、砂糖、酒で作るタレで炒める。
あとは弁当に詰め込んで完成だ。
「ふむ、我ながらいい出来栄えだな」
朝ごはんは余った弁当の具材を食べる。そしてそろそろ時間かと思い時計を見ると八時だったので高校へ向かった。
向かう途中は特に何もなく、そのまま高校へ着き、自分のクラスへと入った。
「よっ、強也」
「ああ、朔」
自分の席に着く前に朔が手をヒラヒラとさせて挨拶してきた。
「そういえば部員のモチベーションを上げるのはうまくいったのか?」
「いや……あんまだった……」
「そうか」
まあそうだろうと納得し、俺は自分の席について一時間目の用意をした。
用意も終わり、朔と話しているとドアがバァン!と開き、唯咲が教室に入ってきた。
「師匠!おはようございます!」
「おはよう」
朝っぱらからこんな大声で……。元気なことだな。
唯咲が来た後にはぞろぞろと教室に人が集まり、先生もやって来た。
「はい、じゃあホームルーム始めるよー」
先生から今日の予定などを聞かされ、そのまま終わるのかと思っていたのだが……。
「あ、そういえば明日抜き打ちテストあるから。みんな勉強していたよね?」
なんてことだ。テストがあるのか……。
詳しく聞くと、数学と英語と国語の三教科だけテストをするらしい。
英語と国語は全く問題ない。おそらく全問正解できるだろう……。
だが数学……数学だけが……!
俺がぐぬぬと唸っているうちにホームルームは終わった。皆は明日テストだと聞き、ギャアギャアと騒いでいた。
「強也くん、唯咲くん、ちょっとカモン」
廊下にから先生が手招きをしていたので俺と唯咲は廊下に向かった。
「君たち…なんで昨日来なかったのかな?」
顔はニコニコとしているが、服がミチミチといっており、今にも破けそうであった。
どうやら怒っているようだ……。
「忘れていた」
「忘れていました……」
唯咲は先生に言われた途端にハッとしており、今思い出したようだ。
「ヴヴゥン!」
先生の服がとうとう破けてしまい、黒光りする筋肉が露わになった。さすがダンベル部顧問と言ったほうがいいのか?
俺と唯咲はもちろんドン引きしていた。
「君たち、ちゃんと忘れないようにしなさい!まあ…注意するだけだからいいけど」
破けた服を拾い集めていたので俺たちもそれを拾うのを手伝いながら話を聞いた。
「いいかい?どんなに遅れそうでも窓から入ったらダメだよ。てかなんで入れるの?兎にも角にも次からはしないよーに!」
「了解した」
「わかりました!」
拾い集めた服の切れ端を先生に渡したら職員室へと向かっていた。上半身裸で。
先生としていいのか…?
「いや〜、完全に忘れていましたね」
「ああ、だが今はそれどころではないぞ……」
そう……先ほどの朝のホームルームで言われた———
「抜き打ちテストがまずいのだ!」
「はっ!?!?」
さてどう乗り越えるか……。数学はやはり諦めるしかないのか…?
俺がそう思っていると、いつものようにあいつがやって来た。
「強也…?廊下で何してるの…?」
「む、静音か。いや……テストがまずいのだ……」
「……?テストは、食べれないよ?」
「違う、そうじゃない」
アホ毛がバツ印になっていた。
「テスト……特に数学がピンチなのだ……」
「———!……じゃあ、今日一緒に勉強する…?」
俺がそういった途端にアホ毛がピンと立った。
そしてそんなことを言ってきた。
「だが静音は数学が得意なのか?」
「ううん、全部得意」
なんと。それはすごいな…。
「私に任せて……。強也の高得点、私が導く……!」
救世主だ……。どうやら俺が数学を諦めるのはまだ早いらしい。
「ではお願いさせてもらおう」
「ばっち、こい」
アホ毛がグッドマークになっていた。どういう仕組みなんだ?
「師匠!僕も一緒に勉強したいです!!」
「唯咲は勉強できないのか?」
「普通ぐらいですね……」
まあ人数が増えても変わらないだろうと思い、唯咲も許可した。
「場所はどこにするんだ?近くのラクドナルドとか———」
「「強也(師匠)の家!」」
俺がラクドナルドと提案する前に唯咲と静音がハモってそう提案してきた。
「……ちなみに理由は?」
「強也の家……前から行ってみたかった」
「師匠の家が一番落ち着く気がします!」
「はぁ…まあいいぞ」
唯咲はバンザーイと言いながら喜んでおり、静音はアホ毛が踊って喜んでいた。
チャイムがなりそうだったので静音は自分の教室に戻ったので、俺たちも教室に戻った。
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