第40話 [バイト終了]
「休憩入るぞー」
「お疲れ……強也くん……。ゆっくり休んでいってね……」
その後も人が雪崩のように店に流れ込み、俺が休憩の時間には店が人で溢れかえっていた。
俺が挨拶をした隣の人はかなり疲れているようだった。
昼飯は持ってきていなかったので、ハンバーガーとナゲットをもらった。
休憩室に入り、近くにあったパイプ椅子に座り、もらった昼飯と帽子を机の上に置いた。
そして昼飯を食べ始めた。
「ほう、なかなか美味いが栄養が偏りそうだな」
ハンバーガーとナゲットを食べ終えた頃は十二時半近くだったので、再び帽子をかぶり、カウンターへと向かった。
「あっ!休憩終わったっぽい!」
「さっき頼んだけどもう一回頼もうかな……」
「ほう……あれが話題の……」
「タイプかも……」
「ラックの制服をあんなに着こなす人物を見たことないッ!!」
なんだか一気に視線がこっちに向いたな……。そんなにハンバーガーが食いたいのか?
そんなことを思っていると、客がやってきた。
「いらっしゃい、注文は」
「私ねぇ、こういったものなのだけれど……」
見た目は少しぽっちゃりとしており、丸メガネで白髪が生えている男であった。
渡された紙に書かれていたのはモデルの採用がうんたらかんたらというものだった。
「君のその美貌を是非うちのカメラで撮って、雑誌に掲載したいと———」
「———ここは、注文をして受け取りを行う場所だ。時と場合を考えろ」
俺はこの男の後ろにも待っている客がいるので、そういった対応をしている暇ではない。
俺は少し睨みながらこの男にそう言った。
「———ッ!ああ……そうだな……。私としたことが、すまなかった……。ではポテトのMサイズを頼む」
「ああ。次からは気をつけるがいい」
ポテトを渡してこの男には帰ってもらった。
「はい次、注文は」
この後は流れ作業のように注文を聞き、渡しての繰り返しだった。
そして頼まれたバイトも終了した。
「強也くんお疲れ様〜。今日は君のおかげで大繁盛だよ。あと……はいこれ、バイト代」
着替え終え、店長に挨拶しにいくとそう言われて紙袋に入ったお金を渡された。
バイトは初めてだったが繁盛したらしいのでうまくいったのだろう。
「それでなんだけどさぁ。強也くんそのままうちでバイト続けてみない?」
「ふむ……。誘いはありがたいが、断らせてもらう。金には困っていないし、早急に金が必要というわけでもないからな」
「そうか……。それじゃあ金に困ったらいつでも雇ってあげるから、せいぜい気が向いたら言ってくれ。あと表口からは出ちゃダメだよ〜」
店長は自分の部屋に戻りながら右手を上げてヒラヒラとさせていた。
「さて、俺も帰るか」
そういえば表口からは出ないようにと店長が、なぜか人が大量にいて出れないらしい。
裏口から出ると、静音が立っていた。
「強也……遅い……」
「遅いと言っても二時からだいたい五分ぐらいしか経ってないぞ」
相変わらず表情は無だが、アホ毛はギザギザした形になり、怒っているようだった。
「それで、これから俺は帰るがお前はどうするんだ?」
「一緒に帰る……?」
「なぜ疑問形なんだ……。というかなぜ俺の家に来る……。却下だ」
「えー……。もしかして何か隠してるとか…?いやーん、エッチぃ」
「真顔で言われてもな」
アホ毛はハートマークになっており、それがユラユラと左右に揺れて動いていた。
「じゃあ諦める……けど、私をこんなに待たせた……」
「む………」
「ここで提案。家の代わりに私の買い物に付き合ってもらう……!」
まあまだ昼も近いし、この後することもなかったから大丈夫か。
「まあいいだろう。どこに行くんだ?」
「近くに…ショッピングモールある。そこに決定……」
「了解した……」
こうして俺と静音はショッピングモールに向かうことにした。
〜一方その頃〜
「昨日は師匠と約束する暇もなく別れてしまった……」
僕は師匠の連絡先を知らない……というか交換するとのを忘れていた。
なので僕は師匠の家へむっている。そしてもうそろそろ着くだろう。
「着いた!」
師匠の家まで着き、僕はインターホンを鳴らした。
何十回も鳴らしたのだが、師匠は今出かけているのかもしれない……。
「師匠を探しに行く……?いや、でも待っておいた方が会えるかも……」
唯咲は強也の家のドアの前で座り込んでいた。
強也が帰るまで待ち続けるのであった。
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