第30話 [二人で料理]




「おお!ここが師匠の家ですか!結構大きいですね!!」


「さっさと入るぞ」



 俺は家のドアを開け、自分の家へと帰ってきた。



「お邪魔します!!」


「邪魔するなら帰って欲しいのだがな」


「ちょ……師匠ー!!」



 俺と唯咲は靴を脱ぎ、リビングまでやってきた。



「そういえばご両親は?」


「いないぞ」


「それって……———」


「そこらへんに座っていろ。夜ご飯を作る」


「え!?僕がやりますよ!!」


「………料理はできるのか?」


「………」



 俺がそう問うと、そっぽを向き始めた。あと下手な口笛を吹いている。



「……ではなるべく迷惑にならないように手伝いをしてもらう……」


「師匠の仰せのままに!」



 唯咲はビシッと敬礼をしていた。


 俺たちはキッチンまで移動し、何を作るかを考えていた。



 そうだな……今日はハンバーグを作ってみよう。


 この前にひき肉も買っていたので作れるのだが、これで肉は無くなってしまう。また買い出しに行かねば……。



「まず手を洗え」


「了解です!」



 流石に人前では魔法は使えないので【清掃クリーン】ももちろん使えないりなので俺も手を洗った。



 ボウルを二つ用意し、冷蔵庫からひき肉と卵、玉ねぎ、パン粉、牛乳、ナツメグなどを取り出し、早速手伝ってもらうことにした。



「まず玉ねぎの皮を剥いてくれ。向けたらこの包丁でみじん切りにしておけ」


「了解です!」



 これぐらいはできるだろうと思い、任せた。


 俺はボウルに卵を割り、箸でかき混ぜ始めた。



「師匠ーー!!」


「む………なんだ」



 卵を溶いていると、唯咲に声をかけれた。



「玉ねぎの皮は剥けたんですけど……みじん切り……ってどうやるんですかね……。というか、包丁ってどうやって使うんですか?」


「はぁぁ……」



 まさかここまでとはな……。包丁を一回も持ったことがないのか?


 俺は面倒くさいが、包丁の持ち方などを教えることにした。



「いいか、包丁を使う前に、手を猫のような形にするんだ」


「猫の手………。は、恥ずかいけど……やってみます!見ておいてください!!」


「??うむ」



 恥ずかいとはどういうことだ?ただ切るだけなのに……。



「にゃ……にゃあ………」


「………?何をやっている?」



 突然顔の横に手を持ってきて、猫のような声を出してきた。



「師匠がやれって言ったんでしょー!!」


「???俺がやれと言ったのは手を猫のような形にして、手を切らないようにしろ……ということだぞ?」


「〜〜〜!!紛らわしいんですよ!!」



 顔を真っ赤にし、涙目で俺に怒声を浴びせられた。


 玉ねぎで目がやられたのか?



 俺は気にせず卵を溶いていた。



 その後は、別のボウルにひき肉と塩を入れ、粘りが出るまで練り混ぜていた。


 唯咲はコツを掴んだのか、玉ねぎをすでにみじん切りにしていた。


 唯咲にはフライパンに油をひいて、玉ねぎを炒めるように指示した。



 炒め終えたら、ひき肉の入ったボウルに牛乳、パン粉、玉ねぎ、ナツメグ、胡椒などを入れ、さらに練り始めた。



「ししょー。僕の仕事は?」


「待っていろ。もう少しで練り終わる」



 練り終えたらサラダ油を手につけ、混ぜたひき肉を適当な大きさに分けて手に取り、両手で投げ合うようにして空気を抜いた。



「ふっふっふ……。僕の神速を見せてあげましょう!」


「落とすなよ」


「師匠見ておいて———」


「落とすなよ」


「………はい」



 それも終わったら真ん中に指で押さえてくぼませる。


 そしてそれらをフライパンで焼き始める。



 何回かひっくり返し、爪楊枝を刺して肉汁が出てきたら皿に乗せた。



 ハンバーグだけだと何か物足りないので急遽、じゃがいもと人参を切り、それを炒めた。

 そしてそのあと、そのフライパンにケチャップとソースを混ぜながら炒めてソースも出来上がり。


 あとはきゅうりやレタス、トマトなどを切り、サラダも完成。



「完成ですか!?」


「うむ、それではいただくとしよう」


「「いただきます」」



 俺たちは椅子に座り、作った晩御飯を食べ始めた。



「んっ!?お、美味しいです!!こんな美味しいハンバーグお母さんの手料理以来ですよ!!」


「そうか」



 軽く流し、俺もハンバーグにソースをかけて一口。



「む!美味いな」



 我ながら上出来だ。


 明日は土曜日で学校がないので、買い出しにでも行くか……。



「「ご馳走様でした」」



 ご飯を食べ終えた俺たちは皿を流しに置き、皿洗いをした。

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