第22話 [失敗]
昼ごはんを食べ終えたが、やはりクロワッサン一つだけだとお腹が空いてしまう。
今日の夜ご飯は多めにするか……。
そんなことを考えながら教室に戻ると、嵐のように質問が殺到した。
「お前静音さんとどういう関係なんだ!?」
「もしかして彼女さん!?そうじゃないと言って!」
「もう名前で呼び合ってたよなぁ!?」
「おい強也どーゆーことだー!」
「私たちの新たなイケメンが……」
本人の静音は違うクラスなのでいない。
面倒だな……。
「静音とはこの前知り合ったばかりだ。他はなんにもないぞ」
そう言ってもなかなか解散してくれず、先生が来るまで永遠と質問が続いていた。
〜〜
「今日はもうこれで終わりか」
六時間目が終わった。
五、六時間目も特に何もなく授業が終わった。
「やっっと部活だぁぁ!!そんじゃ、強也また明日なー!」
朔はブンブンと腕を振りながら教室を去って行った。
しかし部活か……。まあ入るつもりはないが見るのは悪くないだろう。
だが今日は難解であった数学の謎を解くべく、早く帰ろうとしたのだが……———
「強也、行こ……」
「えぇ……」
静音がやってきた。
俺が別の人と違う理由を探っているらしく、静音のターゲットにされてしまったのだ。
「付いて来るのも俺の謎とやらを暴くためか?」
「そう」
「即答か……」
毛は丸のマークを描き、即答されてしまった。
なかなかにいい迷惑なのだがな。
「今日は……スーパー行く…?」
「いや、買い溜めをしたから今日は行かないな」
「じゃあ、途中まで付いて行く……」
「まあ、構わないが……」
どうせ断っても付いてきそうな予感がするからな……。
俺が折れ、付いて来るのを許可した。
下駄箱へ向かい、靴を履き、俺たちは家へ帰るべく歩き始めた。
朝は快晴であったが、今は灰色の雲に覆われていた。
「明日……雨降るよ」
「む?そうなのか?」
俺たちはそんな他愛もない話をしながら駅へと向かった。
「じゃあ……これで……」
「ああ、じゃあな」
静音は駅の近くに止まっていた高級そうな車に乗って帰って行った。
わざわざ車を駅まで止めさせてまで俺の謎を解きたいのか……。
探られすぎて俺が魔法を使えたり転生してきたなどが知られてしまうかもしれないな…。
いや、考えすぎか。
空は黒く、今にも雨が降り出しそうであった。
「家に傘はあっただろうか」
俺は電車に乗り、そのまま家に帰った。
〜〜
家に帰り、少し数学を勉強した後にご飯を作り始めた。
今日は和食に挑戦してみた。
白米と味噌汁、あとは昨日買ったシャケを早く使ってしまおうと思ったので軽く焼き、塩をふりかけたものを作った。
あとは気持ち程度のサラダ。
これまた成功。料理の腕前がどれほどなのかは知らないが、自分ではかなり美味いと思っている。
そして今日は風呂に入ってみようと思う。
前の世界でも異世界人……地球の人間が流行らせた“温泉”などがあったので俺も知っている。
「えーっと……ここに栓をして……ボタンを押して……あっ、水道をひねって……これでいいんじゃないのか?」
あとは待つのみ。
時間が経ち、“お風呂が沸きました!”という女の声に少し驚いた。
タオルとパジャマを用意し、俺は風呂場へと向かった。
待っている間は筋トレなどをしていた。
洗面所に着いたら制服を脱ぎ、パジャマなどを近くに置いた。
「よし、早速……ではなく、まずは頭と体を洗わなければならないのか」
俺はシャワーを浴びたのだが……。
「む……冷たい……」
おかしい……。お湯が出る方をひねったはずなのに……。
「まさか……!」
俺は浴槽に溜まっている水に手を入れてみた。
「つ…冷たい……」
失敗を犯してしまった……。水道+ガスをひねらなければならなかったなだ……,
もう遅いが、俺はガス栓をひねった。
「仕方ない……【
俺は浴槽に手を入れ、魔法で手を温め始めた。
もう、失敗はしない。
ちょうどいい温度になるまで手を入れ、シャワー浴び、風呂へと入った。
風呂は気持ちよかった。
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