第20話 [体力測定:後半]




 反復横跳びの次は二十メートルシャトルラン。


 ただ走ればいいだけの簡単な測定だ。


 先に男子が走るらしい。



「それじゃあ流すぞー」



 一定のリズム感覚で走って行くもので、そのリズムはどんどんと早くなるという仕組みらしい。



「まあ、余裕だな」



〜〜



「お、おい最神!もう上限越したから強制終了だ!!」


「む、なんだ…もう終わりか」



 初めは皆余裕でついてきていたが、だんだんと数が減って行き、最後は俺と朔と、あともう一人だけとなっていた。


 そしてついにその二人も脱落し、俺だけ走っていたのだ。



「なるほど、強也は夏休みの間に人間をやめてきたのか!」


「何を言っているんだ…お前は」



 俺は前世でも歴とした人間だったぞ。まあ、普通の人間の寿命を越していたが…人間だろう。




 次の競技は立ち幅跳び。


 加減を間違えたら壁に激突しそうだったのでなるべく緩く行った。



「さ……三百五十センチメール……」



 まあ超軽く飛んだから仕方ないな。全く飛んだ気がしないな。



 お次は外でやるようだったのでグラウンドに向かった。



 行うのは五十メートル走とハンドボール投げのみ。



 まずはハンドボール投げから。



「行くぞー」



「お前ら気をつけろ!」

「爆速の球が来るかもしれない!!」

「守備を固めろー!」

「お前ら……死ぬんじゃねぇぞ……」

「俺ぇ…この体力測定終わったら告白するんだァ」

「やめろぉ!一級フラグ建築士ぃ!!」



 何やら騒がしいが、俺はボールを投げることにした。



「ほいっ」



 んー……。まあまあ飛んだかな。



「五十二メートル!!」



「いまいちだな……」



 前は目の届かない先の相手に槍をぶん投げることなどがあったからもっと飛ばせれるが、流石にドン引きされそうなのでやめておいた。



 次は五十メートル走だが、【縮地しゅくち】を使うのはやめておこう。


 魔法がなくても出来る技だがこの地球で使える人などほとんどいないだろう。



 そして五十メートル走も俺の番が来たので、スタートラインに立った。



(目標は五秒ぐらいにしよう)



 このくらいが妥当な値だろう。


 その場でしゃがみ、クラウチングスタートの構えで待っていた。

 下手するとこのスタートで一気にゴールまで行ってしまいそうだ…。



「よーい、スタート!!」



 かるーく走り、俺は秒数を確認した。



「えー……5.7秒!」



 しまった、手を抜きすぎたか。他の競技は二回目があったが、五十メートル走は二回目がないのだ。


 まあいいさ。


 多少は高成績を取れたに違いない。



 俺はごく普通にクラスへ戻ったが、クラスメイトは疲労困憊の様子であった。

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