第19話 [体力測定:前編]
「はい、じゃあ今日の授業はここまで。復習しておくのよー」
COの授業が終わった。
だが問題は次の授業だ。
なんと数学なのだ……。
「強也ー…ってどうした?なんか気分悪そうじゃないか?」
「いや……大丈夫だ」
いずれ最強の男子高校生となる者……数学などなんのこれしき…。
数学の時間はなるべく息を潜め、先生にバレないようにした。
先生がかなり歳をとった男の先生であったので当てられることはなかったが、やはり数学を理解するのは難しかった。
〜〜
「峠を越えたな……」
ようやく数学が終わった……。あれはやはり理解しがたいものだな……。
「どうした?強也。それより体操服に着替えようぜ」
「次は確か……体力測定か」
名前の通り、自分の体力を測るものらしい。二時間使ってそれを行うらしい。
女子は教室から出て行き、そのタイミングで皆が着替え始めた。
俺も着替えることにした。
「お、おお……本当にムキムキだな…強也……」
「そうか…?」
確かに転生した直後とは全く違うと思う。寝る前などに筋トレを少々したりしていたからだろうか。
着替え終わった俺たちは体育館シューズを履き、体育館へ向かった。
あとでグラウンドにも行くと聞いていたので運動靴も持っていった。
〜〜
「よし!お前ら!今から体力測定をするからなっ!!」
体育の先生は担任だった。そう、あのムッキムキの先生である。
クラスメイトたちは嫌そうな顔をする人もいれば、ワクワクしている生徒もいるようであった。
「それじゃあ体力測定用の紙を配るから後ろに回してくれ!」
体力測定をし、でた結果を書く紙が手渡された。
行うのは全て合わせて九項目。そして最初は握力を測るらしい。
「それじゃあ男女別で二人一組になって測るように!」
俺はやはりと言えばいいか、朔から声をかけられた。
昨日サッカーで負けたからなのか、それとも気に入られたのか……。それとも……。
「じゃあ朔からやっていいぞ」
「おうよ!ふんっ!!」
朔の右手は四十五キログラム。左は三十九キログラムであった。
「ふー……やっぱ握力上がんないなぁ」
「次は俺か……」
俺は握力を測る機械を手に持ち、早速右手を測ってみた。
するとエラーになってしまった。
「故障か?先生に言ったほうがいいんじゃね?」
「そうだな……」
もしかすると握力が強すぎて測れてないのか?俺は少し握力を弱めてもう一度測ってみた。
すると———
「えーと……握力六十七キロ!?ゴリラかよお前!!」
うまくいったようだ。
ちなみに左もなるべく弱く測ったら六十キロだった。
まあ問題ないだろう。
次は上体起こし。
マットが敷かれあったので、そこで測るらしい。
「よーし、強也バッチコーイ」
俺は仰向けの状態で膝を曲げ、そこを朔が両手で抑えるという形になっている。
「よーい、スタート!」
先生の合図で上体起こしを勢いよくスタートした。
「ふんっ、ふんっ、ふんっ、ふんっ」
「ちょ、強也速っ!!何こいつ!!」
「終了ーー」
「まあまあだな」
「お前……五十五回って……」
「む?」
なんだか周囲からすごい視線を感じる気がする。なるべく抑えたつもりだったが…。
「なんだあいつ……」
「はっっっや!!」
「化け物クラスだ……」
「俺……自信なくなってきた…」
「〜〜!」
田辺なんとかは自分の爪を噛みながら、安定的にこちらを睨みつけていた。
「次は朔だぞ」
「俺……この後にやるのか……」
朔はまあまあであった。
お次は長座体前屈であった。俺の顔と地面がくっつくほどに背中を折り曲げ、それもクラスメイトからジロジロと見られていた。
その次は反復横跳び。
「また今度は影分身の術みたいになるんじゃないかと心配だよ……俺は……」
分身か……使えるんだがな……。
「よーい、スタート!」
先生の合図で俺は体育館の床に貼ってあるテープをまたいで反復横跳びをした。
その時、体育館内ではまるで銃声のような音が響き渡っていた。
「もう俺は驚かないぞ……」
朔もクラスメイトも皆、何も感じていない顔をしていた。
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