第18話 [学問無双]
朝七時にアラームがなり、俺は布団から出てきた。
寝ぼけ眼で階段を降り、パン一枚をオーブントースターで焼いてそのまま食べた。
食べている間は“テレビ”というものを見ていた。
テレビでは色々な情報が入手できるらしい。
パンを食べ終わった後、俺は自分の部屋へ戻り、制服に着替えた。
バッグに今日やる予定の教科書を詰め込み、また下へ降りて玄関に向かい、外に出た。
外に出た俺は駅へ向かい、電車に乗り、学校へ歩いた。
そして、帝王高校の校門までついた。
ついたのだが、昨日よりさらに女子たちがこちらを見てはヒソヒソと話していた。
「あれが昨日噂になってた……」
「やば……イケメンすぎるやろ……」
「それにサッカー部のキャプテンの朔くんにも勝ったらしいよ」
「え!?運動神経もいいの……」
まあ害はないので無視して自分の教室に入ることにした。
「よっ!強也おはよう」
「む、朔か。おはよう」
教室に入るとすぐに朔が挨拶をしてきた。
そして田辺なんとかは相も変わらずこちらを睨んでいた。
俺は自分の席に座り、朔と談笑をしていた。
「そーいや強也ぁ、今日から授業……だるいよなぁ」
「お前は勉強はできないのか?」
「それなりにはできるけど苦手だよ…。スポーツ推薦だったからね!」
「なるほど…。だがお前、昨日俺に負けたよな」
「うわー!!言うなーー!!」
朔は手をワタワタとさせて俺にじゃれついてきた。
「大体なんだよあれ……お前サッカー経験とかあったのか?」
「無いな。あれが初めてだぞ」
「え、サッカー一回もやったことなかったのか…?」
「あー……まあ、色々とな」
ついこの間転生したばかりだからサッカー経験無いのだ、とか言えるわけないしな。
「ふーん……。あ、一時間目COだ。用意持ってきたか?」
「うむ、もちろん」
俺はCOの教科書を用意して、席で先生が来るのを待っていた。
「みんな久しぶりー。CO始めるわよ〜」
どうやらあのメガネをかけた大体四十代ぐらいの女の先生が英語担当らしい。
「それじゃあ……って、一番後ろの端の席の子……誰……?」
先生に覚えられていない生徒がいるのか……誰だか知らないがかわいそうに……。俺の逆側の人だろう。
「こいつ強也っすよーー」
「む?」
朔がいきなり立ち上がり、俺を指差してそう言ってきた。
「あら!そうなのねぇ。だいぶ印象が変わったわねぇ」
あ、そうか……。そういえばイメチェンしたという設定だったのを忘れていた。
「それじゃあイメチェンした強也くん、今から書く日本語を英語に直してみてください」
なんだか流れで俺が指名されてしまった。
朔……貴様のせいだ……。
「お、おい強也……あの英文大学入試レベルの超難問だぞ……?」
「あれがか?」
俺は書かれた日本語を見たが、ごく普通に訳せそうであった。
田辺なんとかはこちらを見てニヤニヤしていた。何が面白いのかわからんな、愉快なやつめ。
「はい、できるところまででいいですからねー」
俺は席を立ち、書かれた日本語をスラスラと英語に直して行った。
「“〜〜〜〜”」
「す、すごい……全部完璧に訳せていたわ……座っていいわよ……」
田辺なんとかは顎を外しそうな勢いで口を開いていた。
「強也……お前スポーツもできるようになったのに、さらに学問までできるようになったのかよ……」
「強也くんいきなりハイスペックになりすぎじゃない?」
「今まで実力を隠していたのね……」
「この高校のトップも夢じゃない気がしてきたな……」
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