『現代ドラマ』のストーリーはつまらない!?

 さて、今回から、『現代ドラマ』の魅力というものを『異世界ファンタジー』と比較しながら明らかにしたいと思います。


 なぜ『異世界ファンタジー』と比較するのか。それは、この二つを比較するとそれぞれの良い所がありありとわかるからです。


 『異世界ファンタジー』と『現代ドラマ』は『設定』という観点からみるとまさに真逆です。


 現代は異世界でもないですし、ファンタジーもおきませんからね。


 それを踏まえると『異世界ファンタジー』と『現代ドラマ』の違いは、まずストーリーの展開の仕方でしょう。


 そもそも、現代において劇的なストーリーは起きにくいですよね。現代に生きていたら戦禍に陥ることも、四天王の出現も、ハーレムもありません。


 その一方で『異世界ファンタジー』はそのような『劇的な』ストーリーを作りやすいです。作者がオリジナルの世界を作っていいので、どんなストーリーもおよそ可能かと思います。


 また、それと同時に読み手も『劇的さ』を感じやすいということもあるでしょう。


 『異世界ファンタジー』の世界は、我々が生きる実際の世界とかなり異なります。そのため、それぞれの事象が新鮮に感じられるのではないでしょうか。


 例えば、「結婚」。異世界で結婚するのと現代で結婚するのはかなり印象が異なりますよね。


 海外旅行先での出来事が些細なことでも強く印象に残ったり、新鮮さを感じたり、楽しさを感じたりするのと似てるかもしれません。


 じゃあ、『現代ドラマ』のストーリーはつまらないのか。


 それはどうなんでしょう。確かに『劇的な』ストーリーは少ないかもしれませんし、箇条書きにしたらう〜ん、って感じかも…


 ですが、それと面白さはまた別です。一見ストーリーの斬新さは少ないかもしれないですが、『現代ドラマ』のストーリーの構造には人の思考や感情が強く組み込まれていると思います。


 皆さん、人生で些細なことで大きく傷ついたり、人生観が変わったりしたこと、ありますよね。


 それは起こったことのみを羅列すると大したことありませんが、その人生の過程を考えるとその重みがわかります。


 『現代ドラマ』の魅力の一つはその事象の『重み』を伝えれることにあるのではないでしょうか。


 『現代ドラマ』は現代に生きる誰かを描く物語です。その人がどういう感性を持って、何を目指して生きてきたか、何を悩んだのか、何に感動したのか、その人の人生を切り取ることになります。


 勿論、『異世界ファンタジー』も、別の世界に生きる誰かを描いているに違いはありませんが、ストーリーが『劇的』で『新鮮』なので、事象の『重さ』が傾向として合いにくいかもしれません。


 仮に魔法を使うA国と、科学に特化したB国が戦争するという展開になったとします。起承転結の転の始めでしょうか。


 この時、転生してきた主人公が、過去にいじめられてて暴力というものを極度に恐れていて、戦争というものに怯え苦しむ様を書くのか、ということです。


…いや、意外と面白い、かも?


 ただ、そういう心情描写を深く描かなくても『異世界ファンタジー』は、起承転結がわかりやすいのでストーリーを楽しんでもらえやすいということです。


逆に、『現代ドラマ』は先ほども言ったようにその出来事自体は劇的さも新鮮さもあまりないので、それぞれの心情を細かく描くことで起承転結の輪郭がはっきりするということです。


よって、もし二つのジャンルのストーリーの重点を分けるなら、『異世界ファンタジー』は出来事ベース、『現代ドラマ』は心情ベースとなるのでしょうか。


勿論、様々な例外はあると思いますが、とりあえずの傾向としてはそんな感じかと思います。


 さて、まとめていきますと、『現代ドラマ』は『異世界ファンタジー』と比べると①出来事の新鮮さ、劇的さは限られる、②その分、心情や思考の変化を深く取り入れることで出来事の『重み』を伝えられやすいということです。


 ちなみに、それをいったら『恋愛』とはどう違うんだとかなりそうですが、『恋愛』ジャンルは心情や思考の変化をあくまでも『恋愛』の枠組みでやらないといけないというところに現代ドラマとの違いがでるかなと。


 まあ、そんな感じで簡単に書いていきましたが、こう考えると『現代ドラマ』の小説の楽しみ方も少しわかってきたのではないでしょうか。


 次回は『現代ドラマ』の魅力第二弾としてキャラクターの違いについて書いていきたいと思います。


 以上のことはあくまでも作者個人の意見ですので、何か質問コメント等あったら是非お聞かせ願いたいと思います。

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