『つるはし勇者』~ 最下位の武器で最上位の勇者になりたい!

Lakers

01 私は死んだ

「こんにちは。私の名前はマナ。 ここを担当する神だ。 死後の世界へようこそ」


美しい女神は、私を見て言った。 自分を「女神」だと、紹介する女性の言葉に頭の中が、ぼうっとなるた。 何もない空白の空間。 私の前に置かれた椅子に座って、笑顔をしている女神は、驚くほど美しかった。


「ふ~ん」


マナは眠い目で、書類に書かれている情報を読み、始めた。


「武田ハル、年齢15歳、死亡事由… 交通事故… ふむ…」

そうだ。やっと思い出した。 私は交通事故で死んだ。


が思い出した。 2020年4月4日。私は、女の友達と花見に向けて、遊びに行く途中、交通事故に遭った。 いや、私がなく彼女が、交通事故を受けなければならなかった。 しかし、女友達を救うために、私が、代わりに車道に飛び出してきており、その次からは記憶がない。


「どうやら、ミスがあったようだ。 君が、死ぬ運命じゃなかったのにね」

「……?」


マナは、疑問に満ちた表情で、書類を床に投げ付けた。 それがどんな意味? 私が、死ぬ運命がなかったと?


私は、マナを見上げて、切羽詰った表情を浮かべた。


「それは、今どういう意味ですか? 私が、死ぬ運命では、なかったんですって?」

「うん、そう」


マナは、私の視線が負担になっているのか、頭をちょいと傾け避けた。 腕組みをしている、マナは「私は何の誤りがないよ」という表情をしていた。 私は、マナのふてぶてしい表情に、血圧が上がる感じがした。


「たぶん、書類作業の途中。ちょっと、ミスがあったみたい~ 本当に、残念~」

「……」


私の、最初の女友達と、一緒に行う初のデート。すべては、本当に完璧だった。私の、人生の中で、一番幸せだったと! どうして、こんなことが起きたの? 他の人は、よく食べてよく住んで恋愛もして幸せに過ごすのに! それで、私は?… 私の人生は?これは、ひどすぎる!


私は、悔しいな表情を浮かべながら叫んだ。


「不公平です!悔しいです! もう、一度、元あった世界に、送ってください!」

「へえ~ それは、不可能~」


私は、断固として断られた。


ひどい!


マナは、何がそんなに楽しいのか満足な表情で、私を注意深く眺めながらはなした。 私は、そんなマナの反応に、血圧が積もっていった。 マナは、金髪の髪を触りながら、椅子にもたれて、楽な姿勢を維持した。


「俺たちの、ミスは認めるよ。 でも、元の世界に転生は、不可能なんだ」

「…どうしてですか?」


私は、マナを見上げながら話し、マナは、指で唇を触りながら、私と目を合わせた。


「俺たちは、死後世界を管理する神々だよ。 誰よりもよく知っている。 君の運命は、もう、そっちの世界では終わった。 もし、そちらの世界で、また転生するとしても。 君は、また死ぬ運命に置かれるだろう。 そうなれば、結局死が繰り返される、運命になるだろう」

「……」


ありえない…。


私は、ハンマーで頭を殴られたように精神が、ぼうっとなるた。


「でも!他の方法は、存在する!」


マナは、ウィンクし笑みを浮かべた。 なんかもしれませんが。 彼女の反応で、不吉な感じがした。


「異世界に、転移する方法がある!」

「……それは、可能ですか?」

「もちろん! 俺は、死後の世界の女神だよ! 不可能は、なし!」


到底信頼が持てない。マナは、堂々と胸を張って肩をすくめた。


「ちょうど、そこを『代わってくれる』人が、必要だったんだの!」


マナの瞳には、楽しみがいっぱいだった。


「君が、経験できなかったことを、できるようにしてあげるよ! どう?ハルくん? 面白そうでしょ?」

「お断りします」

「…うん?」


私は、目を細くしマナの提案を拒絶した。 私は、マナの提案を聞いて本能的に不安という感じを受けた。私は、断った方が良いと判断した。 きっぱり、断った私の反應に、マナは口を開けぽかんとして、私を見つめた。


「そ、それはどういう、意味? なんで!」

「そりゃ、当たり、前でしょう? あなたを、信じて行ける、わけがないじゃないですか!」

「私を、信じて!すごく、いいところだよ! 君が、想像できなかった! 幻の世界!」

「要りません」

「だめ!君は、必要だよ! 必ず行か、なければならないんだよ!」

「いやだってば!」

「君が、そっちの世界に移転することに、100ゴールドを賭け… しまった…」

「…100ゴールド?」


マナは、自分がミスをしたということを自覚したのか、早く手で口を防ぐ。 マナは、慌てた表情で冷や汗を流しながら、私を見て、私の背筋が汗で流している感じを受けた。 この女性が、今、何をしたっけ? お金? 誰を、相手に? まさか、私を?


頭の中が、混乱した。


「それは、今どういう、意味ですか?… 説明してください」

「そ、それがね…」


マナの瞳孔は、激しく揺れ始めている。 私は、鎮まらない心に体全体が、震えてきた。 私の質問に、マナは「しまった!」とし、まなざしが、言ってくれていた。 マナは首を回して、私の視線を避け、口笛を歌うまねをした。


私は、マナの反応に体が震えてきた。 怒りを堪えることができなかった。私は、慌てて真奈がいるところに飛んでかえって、マナの肩をつかみ、コーラー缶を揺るがすように、肩をゆすった。



「うわぁ!人の命を、お金で売って? 君が、それでも女神なか? 返せ! 私の人生! 私の、初めての彼女! 私の初デート! 全部、元通りに戻せよ!」

「フアア!- い、いったん! 落ち着いて!… うう…くらくらする…」

「おまえなら、落ち着くのか!?」

「……す、 すみません!-」


私は、泣き叫んで、マナの肩をゆすった。 マナの瞳は夢中で、くるくる回りながら、切羽詰った声で私に話した。


「…す、ストップ! わ、わかった! それなら君に最高の恩恵をあげる!」

「恩恵?」


私は、恩恵という声に振っていた彼女の肩を止めた。


「……恩恵とは何ですか」

「ちょ、ちょっと待ってね…」


マナは、ハンカチを取り出して冷や汗を拭いながら、誰かの名前を、呼び始めた。


「エ、エスト!エスト!」

「お呼びですか。 マナ様」


マナのブルウムに、白髪の女の子が彼女のそばでゆっくり近づいてきた。 白髪の女の子は、大きな玉のように美しい青い瞳を持っていた。 真っ白なワンピースを着ている彼女は、小学生から中学生くらいに小さな美少女だった。


私は、「エスト」という子供の外見に目を離せなかった。エストは、私の視線に顔をしかめマナの後に体を隠した。


「マナ様、あの、不機嫌そうな変態、ばかは、誰ですか? すぐに、地獄に送ってください。 今、私を汚れた視線で目を通しました。 確かに想像の中で、私にセクハラをしたはずです!」

「……」


いらいらするやつが、もう1人追加された。


私は、エストの無作法な話し方にも我慢しながら、笑う表情を維持した。 しかし、エストは、私の悪口をする発言を止めなかった。 あのちびの、頭を一発殴ってみたくなった。


マナは、後ろに隠れているエストの頭をなでながらエストを、私に紹介させてくれた。


「この子の名前は、エスト。 名称は、『エステリオン』神々の12種類の武器のうちの一つで、死後の世界を、管理する私の専用武器だよ」


私は、マナの言葉に、後に隠れてにらんでる、エストと目を合わせた。 エストは、軽蔑する目つきに私をにらみつけて、アルパカのようにつばをはくた。


「…ぺっ!死んじゃえ!ゴミ!」

「……」


一発殴ってやりたい。 あの、無作法なやつを、涙が出るように懲らしめたかっだ。 マナは、そんなエストを見下ろし、笑みを浮かべ、エストは、マナの腰をぎゅっと抱きしめた。


「もし、この世に転移したら、この子も、一緒に連れて行かせてあげる! どう?こんなに、奇麗でかわいい美少女と旅行をしたら、退屈しないよ!」


と言い、自分にウィンクをしている。 そばでマナを、見守っていたエストは、驚いた表情を浮かべた。 エストは、マナの裾を握って哀願するように涙を浮かべた。


「えー いやです! マナ様!あんな変態と、一緒にいたくないです! あたしは、ここが好きです!」

「エスト、これは、試練! あなたのも、もう立派な神の武器だよ。 これからもっと、成長していくためには、経験が必要だ。 全部、君のためなんだよ」


あの子の、ためではなく、あなた自分を、ためだっただろう。 ごみ女神。


私は、けれんな笑をするマナを見、心の中でののしった。


マナは、女神らしく、慈悲深かった微笑みを見せてくれ、涙を流しているエストの、頭をなでてあげた。 私は、女神のそんな行動を見ながら、本当に 「どうして、あんなやつが、女神になったのだろうか」する考えをした。


結局、100ゴールドの、ためにエストを私に、渡そうとするのだ。 本当に、ひどい。 あの、ゴミ女神は、悪魔にちがいない。 あのように自分を、信じてついてくれるエストラの子が、かわいそうだった。


「ま、マナ様…」


エストは、彼女の言葉に感動したのか、尊敬する目でマナを見上げた。 エストは、マナにすっかりだまされたようだ。 マナは、笑顔でエストを私の、ところへ押しやった。エストは、突然マナの行動に力なく倒れる。


「フグッ!…」


床に見事に倒れたエストは、苦痛の混じったうめき声を上げる。 うわ…痛そう。 心配そうな顔で、手を差し出したが、床に倒れているエストを、見つめた。


「大丈夫?」

「…うう」


エストは、ゆっくり頭をもたげて出て目を合わせた。赤く腫れ上がった鼻は、痛かったのか、涙ぐんでいた。 エストは、警戒に満ちた表情で私を、じっと見つめた。


「じゃ、仲良く、行ってらっしゃい~ あ! そして! この本を、君にちにあげるよ!~」


マナは、私に本を投げ出して手を振った。 私たちが、いた場所には大きな魔法陣が、繰り広げられ、 魔法陣から放たれる青い光は、私とエストを包み始めた。


とまどった拍子に、本を受け取った私は、あわてて叫んだ。


「ちょっと!本当に、これだけ!? もう、ないですか!? ファンタジー小説では、能力のようなものを与えるが、私に、与えられるのはこれだけ!? チートの能力といったことは、ないんですか!? 」

「マナ様! やっぱり、いや! 行きたくないです! この、変態ばかと同行したくないです!…」


魔法陣から降り注ぐ光は、私の視界を遮り始めた。 私は、消えつつあるマナを見て叫んだが、不思議なことに何の声も出なかった。 横にいたエストは、涙ぐんでもがき私たちを、じっと見つめていたマナは、笑顔で私たちに、手を振って別れのあいさつをした。


「さようなら~ エストを、よろしくね~ ハルくん~」


ちくしょう! あの、ゴミ女神が!


私たちは、魔法陣から噴出される光とともに、しみこんできた。 意識が、もうろうとした私は、ぼやける視野の中で私たちの前で、笑っているマナを、何度も恨みながら気を失った。

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