H
「いや、ごめんね。なんでもないや」
「え、でも……」
「ごめんね。わざわざ来てもらったのに」
「そ、そう、ですか……わかり、ました……では……」
鈴川さんはそれだけ言うと、静かに教室から去っていった。うん。これで、いいんだ。
告白なんてしようものなら、間違いなくこの関係は変わる。そもそも今ここに来てもらえたのも、ゆっくりと時間を掛けて仲良くなれたお陰だ。それをわざわざ壊す必要なんて、無い。
本当にこれでいいのかと改めて自問自答してみる。確かに、告白すれば良かったとも思う。だけどOKがもらえる保証なんて元から無かった。友達とは思えても、恋愛対象とは思えないなんてよく聞く話だし、鈴川さんもきっと、僕とそんな関係になるなんて望んでいなかっただろう。
だけど、そう決めつけてもいいものなのだろうか。いや、ただの自意識過剰か。そんなのはありえない。決して。
そして僕は、これからも、変わらない日々を過ごすのだった。
FIN
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