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 何を言ってるんだ僕は。好きだと言うんじゃないのか。おい。いやまあ確かに、一回くらい眼鏡を外した素顔を見てみたいなって思ったことはあるけど、わざわざこんな状況で言うことじゃないだろ。でも訂正して告白するのもおかしい気がする。ああもう何がしたいんだ僕は。


「え、眼鏡……ですか? わかりました……」

「え、いや、あ、うん……」


 やっぱりいいよとも言えず、僕は鈴川さんが眼鏡を外すのをずっと見ていた。心臓の鼓動がバクバクと全身に伝わっている。


「は、はい……ど、どう、かな……?」

「か」


 こ……これは。これはっ!


「かわいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」


 なんだこの美しすぎる女神は。元々かわいいなって思ってたけど、眼鏡が取れた瞬間この世のものとは思えないほど尋常でないかわいさに跳ね上がった。否、翼が生えて遥か上空に舞い上がった。なんだこの宝石の如く大きくきらきらしている瞳は。危うく魂を抜かれかけた。


「かわいい」

「え、あの、え……?」

「かわいい、好き」

「す、好きって……」

「好き好き好きかわいいかわいい」


 言葉が止めどなく、口から溢れ続けた。黙っていると爆発してしまいそうだ。もう、思いを伝えずには、いられなくなった。後のことなんてもう知るか。


「ちょっと……あんまり見ないで……恥ずかしい……」


 鈴川さんは僕の言葉を受け続け、顔を真っ赤にして腕で隠した。やばいやばいやばい。なんだこのとんでもないかわいさは。もっと見たい。


「も、もう一回!」

「やだ。やだやだやだやだ!」


 僕の頼みを鈴川さんは顔を隠しながらぶんぶんと頭を振って拒んだ。そういえばいつの間にか敬語が取れている。かわいい。


「も、もう!」

「ああ……。でもこれはこれでまたかわいい!」

「ばかー!」

「ぐはー!」


 眼鏡を掛け直した鈴川さんに殴られた。痛い。けど嬉しい。


「あなたばっかり言いたいこと言ってずるいです! わたしからも言いたいこと言わせて下さいっ!」


 鈴川さんが、今まで聞いたことのないくらいの大きな声で言った。


……どうしよう?



I.言わせてあげる。


J.本能の赴くまま、引き続き言い続ける。

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