第12話 過去との決別 前編
――フジワラの街 2区正門 棘の警備隊副隊長 サラ――
「お帰りなさいませ上皇様」
私は森から戻ってきたグラディエーターの助手席にいる上皇様へと声を掛けます。
「うむ、サラ殿か。今夜は酒場にはおるのか?」
「いえ、今夜はクロエと別の隊員が行く予定です」
酒場の運営は、もともとは隊員の男性恐怖症を克服するためにやっていたことです。私も最初の頃こそ手伝いをしていましたが、今ではクロエも他の隊員たちも酒場の客を相手にすることでだいぶ慣れてきたので週に1回ほどしか顔を出していません。
以前は酔っ払って絡んだり口説いたりしてくる面倒な客がいたので、なかなか私もカルラも酒場から離れることはできませんでした。スーリオンさんがカルラが心配なのかしょっちゅう来てはいましたが、彼は夜勤もあるので毎日ではありませんでしたし。
でもダークエルフの移住者が増え、女性たちをアルバイトに雇ってからは面倒な客は全て彼女たちが叩き出してくれています。彼女たちには本当に助かっています。おかげで今まで消極的だった隊員も、酒場のお手伝いに顔を出してくれるようになりました。
「なんじゃ、美女がカウンターにおらんと寂しいのう。クロエは黙々と酒を作っておるだけじゃし、ダークエルフの”うぇいとれす” じゃったか? 全員無愛想じゃからの。ああいう酒場にはサラ殿のような癒しが必要なんじゃよ」
「ふふふ、ありがとうございます」
「ふむ、ところでサラ殿は王国出身と聞いたが、父君か母君のどちらかが帝国人ということはないかの?」
「……いえ」
私は上皇様の言葉に心臓の鼓動が早くなるのを感じました。
知ってるはずがない。そんなはずは……
「そうか、その目がの。確かに王国人特有の青緑色をしておるが、青の方の色が強く出ておるでの。ハーフではないかと思っただけじゃ。」
「そうでしたか……良く言われます。先祖に帝国人がいたのかもしれませんね」
良かった、目の色のことでしたか。確かに私の目の色は碧眼の帝国人に近い色をしています。
「しかし綺麗な眼じゃの。余が若ければ勇者殿と争ってでも妾にしていたやもしれんの、ワハハハ」
「そ、そんな。私のことでオーナー……いえ、リョウスケさんと争うなど……あり得ませんよ」
こんな汚れた私を女神様の祝福を受けた勇者様が愛してくれるはずなどあるわけがない。
「ん? よく勇者殿を目で追っておったから気があるのかと思ったがの。しかし自分の魅力に気付いておらんのか、もったいないの。そのよく手入れされた長い金髪に、顔も余の妻たちの若い頃に負けず劣らず整っておる。肌の手入れも欠かしておらんのじゃろう、どこぞの貴族令嬢のように白いしの。サラ殿は余が妾にしても良いと思えるほどの美貌の持ち主じゃ、もう少し自信を持つがよい」
「……ありがとうございます。ところで上皇様。森を監視している者からこちらに戻られる途中、上皇様が運転席から助手席に移動されたとの報告が入っておりますが」
リョウスケさんを目で追っていることを見られていたことと、上皇様のストレートな褒め言葉に私は恥ずかしくなり、呼び止めた本題を切り出しました。
「な、なんのことじゃ? 余はずっと助手席で森をどらいぶしておったぞ? 余は免停中じゃからの。おとなしく座っておっただけじゃ」
「隊員には遠目のギフト持ちがおります。その者が今日だけでなく、昨日も一昨日も上皇様が運転している姿を確認しております。それにハンターたちからの目撃証言もです。あと燃料を王国から融通してもらっていることも知っております。まだ言い逃れをなさいますか?」
私の言葉に運転席と後部座席に座っている騎士たちが、一斉に顔を背けました。もうこれは確定でしょう。
「ぐっ……す、すまぬ! 我慢できなかったんじゃ! 勇者殿には黙っていてくれ! あと2週間で免停が明けるのじゃ! 延期されたら余は何を楽しみに生きていけばよいのかわからぬ! この通りじゃ!」
上皇様は観念したのか、助手席で両手を重ね拝むように頭を下げました。
「はぁ……今回だけですよ。この街に住む以上は、町長であるリョウスケさんの指示に従ってくださいね」
皇位を譲ってからプライドとかそういうのを一切捨て去ったかつての統治者に、私はため息を吐きながらそう伝えます。
帝都の人が雷帝と恐れられていた元皇帝のこんな姿を見たらショックを受けるでしょうね。
「恩に着るサラ殿! なにか困ったことがあれば力になるでの! では余はこれで失礼する。竜王と将棋をやる約束があるでの! おい、出せ」
上皇様はそう言って運転席の騎士に命令し、正門をくぐり街の中へと消えていきました。
「まったく」
私は上皇様の乗る車を見送りながらため息を吐いた。すると休憩室に入口から見守っていた隊員二人が近づいてきて頭を下げてきました。
「サラさん代わってもらってありがとうございます」
「ごめんサラ」
「いいのよ。二人とも帝国出身だものね、気が引けるのもわかるわ」
二人は帝国人です。かつての統治者を恐れるのは仕方がないでしょう。国には家族がいるのですから。私だって副隊長であることや、リョウスケさんが帝国や王国の権力者から守ってくれることを信じていなければ応対したくない相手です。
「それじゃあ私は報告書を書かないといけないから隊長室に戻ります。また何かあったら呼んでね」
そう言って私は警備隊の休憩所の奥にある隊長室へと向かいます。
その途中、休憩所のソファーの上でクロエが忍天堂スイッチでゲームをしているのを見かけました。
あの子はこんなところまでゲーム機を持ってきて……酒場の仕事が終わった後も部屋でゲームをしていると聞いたけど、いったいいつ寝ているのかしら?
私も人のことは言えないので、注意できないのが副隊長として情けないところですが……
これも全てあのスマートテレビがいけないんです。
酒場に顔を出す回数が減ったことで夜は暇になってしまいましたが、スマートテレビというリョウスケさんがいた世界の演劇が観れる魔導具のおかげで最近は寝不足気味です。カルラや他の隊員たちも観ているらしく、女子寮のロビーや休憩所では何を観たとかや、あれが面白かったなどの話で持ちきりとなっています。
ただ、私はアクション物ばかり観ているので、恋愛物ばかり観ているカルラや隊員たちと話が合いませんが……ふふっ、あのカルラが恋愛物の演劇が好きだなんて知りませんでした。これもスーリオンさんのおかげでしょうか? 彼の告白はかなりロマンチックだったと聞いています。カルラは顔を真っ赤にして教えてくれませんが。
酒場の手伝いによって男性への恐怖心が和ぎ、スマートテレビが支給されて恋愛物の演劇を観ることができ、そこに隊長であるカルラに恋人が出来ました。そうなると私だってと、勇気を出してダークエルフの男性や常連のハンターとお付き合いする隊員も出てきました。
これも全てリョウスケさんが彼女たちの身体の傷だけでなく、純潔の身体に戻してくれたおかげでしょう。治療を受けた時はまさかそんなことまでできるとは思っておらず、後でシュンランさんに純潔を失う前の身体に戻っていることを教えられてみんなで抱き合って泣いたのを覚えています。
過去の辛い思いは忘れられませんが、肉体的には無かったことにしてくれたリョウスケさんには感謝してもしきれません。そして一番心の傷が重かったクロエに、パソコンやゲーム機を真っ先にプレゼントしてくれたりといつも気に掛けてくれてます。そのおかげでここに来たばかりの二年前と比べ、クロエはよく笑うようになりましたし毎日楽しそうです。
私はそんな一度は諦めた恋愛を経験しているカルラや隊員たちに対して、嬉しい気持ち半分、寂しい気持ち半分といったところでしょうか。カルラなんて最近は女子寮ではなく、リョウスケさんが用意してくれたというファミリー用の寮でスーリオンさんと過ごしていますし。隊員たちも休みの日は恋人のハンターと狩りに出掛けたり、彼らの部屋で過ごしているようです。
正直みんなが羨ましいです。
私は……私はずっと過去に囚われたまま抜け出せないでいます。
私はサラ、長い間苦楽を共にしてきた仲間にすら過去を隠し生きている女。
そんな私が……不誠実で汚れた身体の私がリョウスケさんを想う資格など無いのに……それでもあの人に新しい恋人ができる度に胸が苦しくなる。
あの人の側にいれる。今はそれだけでいい……いつか過去と決別できるその日までは。
♢
「おお、貴方様が勇者様ですか! お会いできて光栄でございます。それに祝福の戦妃と名高いサーシャ様までご同席いただけるとは! 私は帝国五大商家の1家、モラン商会の会頭をしておりますボラン・モランと申します。この度、フジワラの街の2区に誘致する商会を帝国から探されているとのお話を聞き飛んでまいりました」
「ようこそモランさん。私がフジワラの街の町長である涼介・藤原です。一応勇者をやっています」
「サーシャです」
俺は目の前に座る小太りで人の良さそうな柔和な顔の中年の男性に、頭を軽く下げ自己紹介をした。サーシャは隣で嬉しそうだ。祝福の戦妃と呼ばれたのがそんなに嬉しいのだろうか?
この男性の言った通り、フジワラの街の2区に商会を誘致することにしたんだ。1区には獣王国の商会であるメーレン商会を誘致しており、メーレン商会は王国の商会と取引をして膨大な利益を出している。ただ、メーレン商会でも扱っていない商品があり、それを求めての誘致となる。その商品……いや人間なのだが、まあ戦闘奴隷のことだ。
この街で力をつけた帝国のハンターの中には、より高みに行くために戦闘奴隷を購入したいという者も多い。そういった者たちから奴隷商を誘致して欲しいという要望はあったが、帝国の奴隷に対する扱いが気に入らなかった俺はそれらの要望を全て無視してきた。
しかしシェリス皇女と上皇により、帝国の奴隷と戦闘奴隷の待遇が大幅に改善された。それならフジワラノ街にも奴隷を扱う商会を誘致してもいいかとなり、そうすることにしたんだ。王国には戦闘奴隷制度が無いので、必然的に帝国の奴隷商がその対象となる。
それでどこかいい商会がないか上皇に聞いたら、皇家御用達の五大商会を紹介してもらうことになった。どこもかなり大きな商会らしく、奴隷だけでなく食料や日用品に武器や防具、そして娼館まで複数持っているようなのでそこに頼むことにしたんだ。メーレン商会は嫌がるかもしれないけど、今まで競合相手無しでボロ儲けしてきたはずだからな。ここらで利用者であるハンターたちの満足度を上げるためにも競合相手は必要だ。
それでついでに帝国の五大商会同士で交流の場を設けて欲しいと上皇に頼まれたので、2区の正門の横にある別館を一つ空けて商談中はそこに滞在してもらうことにした。
こういった副次的な目的でもないと、なかなか滅びの森の中にある街には決裁権がある人間は来てくれないだろうと思ったからだ。帝国では勇者は敵みたいな風潮が未だにあるしな。
そしてこうして一昨日から五大商会が次々と到着したので、旅の疲れを癒やしてもらったあと順番に商談をしているというわけだ。実際に彼らと話しているとこの街は帝国でもかなり有名らしく、商会同士が集まる目的がなくとも商会から会頭や次期会頭などトップの人間がやって来たのではないかと思えた。
どうも彼らの言葉の裏には、俺が滅びの森から国土を奪還するとでも思っているフシがある。そんなつもりは全くないんだが、勝手に期待する分には好きにすればいいと思う。その方がこの街には得だしな。
商会との面談には王族として様々な教育を受けており、実際にハンターたちから奴隷を購入しているサーシャにアドバイザー兼書紀として同席してもらっている。
「ハハハ、女神様から与えられた勇者の使命を一応とは。これはこれは、なんとも今代の勇者様は面白いお方ですな。ハハハハ」
「いえ、それほどでも」
その使命がタワーマンションを建てることだから間違いじゃないんだけどな。勇者ってのはついでだついで。
「いやはや本当に面白いお方だ。ところで勇者様。もし私どの商会を誘致していただけることになった際ですが、メーレン商会やその他の獣王国の商会のように、あの魔導車と呼ばれる馬のない荷車で南街から商品の輸送をしていただけるのでしょうか?」
「ええ、商品や人員の輸送はこちらで承ります。ここは滅びの森の中にある街ですからね。人と荷物の安全は保証いたします」
「おお、なんとも至れり尽くせりですな! それでしたら私どももお安く物資をご提供できるかと思います。残念ながら帝国の誇る魔導具は必要ないようですがね、ハハハ」
「そうですね。魔導具はこちらで作れますので」
「お貸しいただいている部屋にある小型の保冷庫に、遠隔操作ができる冷風機に温風機。そして楽団の奏でる聞いた事のない素晴らしい音楽を流す魔導具に、馬を必要としない荷車。いやはや、是非とも当商会で扱いたいものばかりですな」
来たか、やはり商人としては喉から手が出るほど欲しいんだろうな。
「モランさん、この街にある魔導具は全て非売品です。どの商会にも卸す気はありませんので諦めてください」
「なんと! あれほどの魔導具があれば大儲けができるというのに、勇者様はなんと欲のない……もったいないですなぁ」
モランさんはそう言って上目遣いで俺を見上げ様子をうかがっている。あ、これは釘を差しておかないと馬鹿なことをする可能性があるな。
そんな事を考えていると、サーシャがため息を吐きつつ口を開く。
「モランさん、一応忠告しておきますが魔道具は宿から外に出そうとしても、結界により持ち出すことは出来ません。もしも帰りの荷物に紛れ込ませようとしてそれが発覚した場合は、紹介してくださった上皇様の顔に泥を塗ることになります。ここには帝国の上皇様とシェリス皇女、そして私と母と獣王国の姫がいることをくれぐれも忘れないように」
「しょ、承知いたしました! 連れてきた使用人と護衛にもしっかりと言い含めておきます」
もしマンションの設備に色気を出したら、帝国だけでなく王国と獣王国でも商売ができなくなるぞというサーシャの言葉の裏を理解したのだろう。モランさんは顔を青ざめさせながら何度も頭を下げた。
正直ここまで脅す必要もないとは思うが、実際に設備の盗難未遂が多いんだよな。そしてその背後には王国の貴族や商会がいた。もし帝国の五大商会が同じことをすれば、彼らを紹介した上皇に殺されかねない。いや、間違いなく殺されるし家も潰されるだろう。それに比べればこれくらいの脅しは許してくれるはずだ。
「さて、ご理解いただけたようなのでモラン商会がこの街に卸してくれる商品の詳細を教えてもらっても?」
「は、はいっ!」
それから2時間ほどモランさんと商談しつつ、その内容をサーシャがノートパソコンに打ち込んでいくのだった。
♢
「あー疲れた! パソコンって肩が凝るのよね。腰も痛いし」
商談を終えモランさんが2区の来賓用の別館に戻ると、サーシャが速攻でソファーの上に寝そべりながら肩に手を当てて揉み始めた。
「ソファーに座りながらだと体勢が悪いからな。かと言って俺たちだけ机と椅子に座っているわけにもいかないしな」
俺はそんなサーシャの横に座り、彼女の肩と腰を揉んであげながらそう口にする。
「あっ、そこ気持ちいい……」
「ここか?」
「うん、もうちょっと下。うん、そうそこ……って、お尻を揉んでどうするのよ」
「ははは、相変わらず大きくて柔らかいお尻だからつい」
「あんっ、もうっ! リョウスケは本当にエッチなんだから。この前もガラス張りの車で街道を通るハンターや警備隊の前でするし……外から見えない特殊なガラスだって知ってはいても、本当に恥ずかしかったんだから」
「確かに興奮してたなサーシャは」
外を通りかかるハンターたちに気付かれるかれるかもしれないって、俺もサーシャもかなり興奮した。中を覗き込もうとする奴もいたしな。さすがにそれだといくらマジックミラーでも中が見えるから、サーシャを後ろから突きながら窓を開けて顔だけ出して応対したけど。
その時がいちばんサーシャが興奮していたように思える。声を押し殺しながら締め付けが凄かったしな。
「こ、興奮なんかしてないわよ!」
「うんうん、そうだな。またヤろうな。今度はハンターたちの野営所に車を停めよう」
「ちょ、ちょっと! 話聞いてた? 興奮なんかしてないって言ったの! それがなんでもっと人が多いところですることになるのよ!」
「俺の故郷の言葉で、嫌よ嫌よも好きのうちという言葉があってな?」
「それって本当に嫌ってことでしょ! なんで好きになるのよ!」
「そういう人もいるってことだって」
特にサーシャはその典型だ。もうムッツリもムッツリだからな。俺はそんな口では素直に言えないサーシャの気持ちを汲み取り、彼女の求めるプレイをしているだけだ。
空を飛んで雲の上で裸になるよりは遥かにマトモだと思う。リーゼの露出はダイナミックすぎる。
「私は違うから……あんっ、ちょ、なんでアソコに手を……んっ」
「いや、そんなに否定するなら、いつ人が来るかわからないこの部屋で試そうかと思ってさ」
俺は彼女のお尻から着ていたワンピースを捲くり上げ、太ももの間に手を伸ばしピンクの下着の上から彼女の太股の付け根を刺激する。
「や……他の商会の人が到着したら……んっ……だ、誰かが呼びに来るかもしれないのに」
「大丈夫、今日は棘の警備隊しか正門にはいないから。見られても女性だから」
そう言って湿りきったサーシャの下着を脱がそう手を掛けた時だった。
コンコン
「き、来たっ! 人が来たわよリョウスケ!」
面会室のドアがノックされる音を聞き、サーシャは慌てて起き上がり捲れていたワンピースを整えた。
「そうみたいだな。はい、開いてるぞ」
俺は若干残念な気持ちになりつつも。ノックをした相手に入るよう促した。
「失礼します。オーナー、もしかしてお楽しみ中でした?」
すると棘の警備隊の古参の一人であるレイザが顔を出しニヤリと笑う。
「な、何いってんのよレイザ! そんなことしないわよ!」
「あはは、それでレイザ、どうした? 何か揉め事か?」
「いえ、帝国の五大商会のパートリー商会の次期会長と名乗る者が、オーナーへ面会に来たんですよ。ああ、ちゃんと上皇様の紹介状も持ってました」
「そうか、じゃあ別館にお通ししてくれ。商談は明日にするつもりだが、先方の都合も聞いておいてくれ」
「はい、では別館に案内しときます
レイザはそう言って部屋を後にした。
「パートリー商会は……確かやり手の次期会頭がいる商会だったよな? でも今は結構厳しい状態なんだっけ?」
「そうよ。会頭が今回の帝国の混乱を上手く利用して儲けたみたいなの。つまりルシオン側にいた人間ね。でもルシオンが倒れちゃったじゃない? それで慌てて大金を帝国の復興のために上納したことで許されたみたいなんだけど、立場はあまり良くはないわね。それで会頭じゃなくて次期会頭をこっちに寄越したんだと思うわ」
「それは……会頭はヘタを打ったな。確かにルシオンが攻めた街には会頭は来れないわな。それじゃあ今回来ている次期会頭は、商会の汚名返上のためにかなり気合を入れて来てるんだろうな」
俺は別にルシオンに商人が加担してもなんとも思わないが、そこをライバルの商会が突いて評判を落とそうとしているんだろう。
「そうね、ここで勇者のいる街と取引できれば許されたってことになるもの。その功績で次期会頭も会頭になれるだろうし」
「そりゃ応対が大変そうだ」
「ふふっ、そうね。でも私がいるから安心なさい。リョウスケを騙そうとしたらすぐに見破ってやるわ」
「おお、さすが元王女様だ。恋人として頼もしく感じるよ」
「ふふん♪ もっと褒めていいのよ」
「そうだな……ここからは言葉じゃなくて感謝の気持を態度で示そうと思う。よっと」
褒められて喜ぶサーシャが可愛くて、俺は彼女をお姫様抱っこをしてソファーへと寝かせる。
「あっ、ちょっとなに? なんでこんな所に寝かせるのよ」
「いや、だから感謝の気持を態度で示そうと思ってさ、さっきの続きをと」
そう言ってサーシャのワンピースを俺は再び捲くり上げ、太ももの間に頭を入れ下着をずらし舌を伸ばす。
「な、なんでそうなるのよスケベ! あっ、待って、また誰か来るかもしれな……あんっ……そ、そんなとこ舐めちゃ……ダ……メ……」
そして誰かが来るかもしれないというドキドキの中で、俺はサーシャと夕方まで愛し合うのだった。
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